■35(丸山side) ページ35
バーベキューコンロに折り畳みテーブル、アウトドアチェアやハンモックまで───よくこれだけの物が地下のトランクルームに揃っていたもんだ。
と、変に感心してしまう。
Aちゃんに案内され、初めて行ったトランクルームは、不気味な木製の偶像や、カラフルな民族土産が雑多に並べられ、まさにカオス状態だった。
元の家主、もとい彼女の従姉妹は、どれだけ多趣味だったのやら。
しかし、道具一式をこうして拝借している身だ。崇める事はあっても、文句を言える立場ではない。
「･･････先に火ぃ点けとくか」
そして当然ながら、本日のバーベキューに横山君はいない。
故に、勝手に火を点けても彼に怒られる心配もなければ、逆に誰かが火を点けない限り、一生バーベキューは始まらないのである。
俺はコンロ内に敷き詰めた炭の上に紙と着火剤を入れると、そこに火を灯していく。
ジワジワと赤い熱が全体に広がっていくのを、俺はぼんやりと見つめた。
そして、テーブルの足元に無造作に立て掛けた手持ち花火のセットに目を向ける。
花火をやるのなんて、いつ以来だろうか。
もういい年齢と思っていても、いざ花火を目の前にすると、不思議とワクワクしてきてしまう。
───今度さぁ、花火とかせえへん？
そう言って彼女を誘ったのは、俺からだった。
そこから、せっかくならバーベキューもやろうという話になり、更にそこへ大倉も加わって、今日に至る。
そしてその大倉は、酒の買い足しを忘れたと言って、絶賛買出し中だ。
一応、Aちゃんの実家から送ってもらった日本酒や焼酎の数々もあったが、ビールやハイボールといった軽めの物も欲しかったらしい。
メンバー内では1番年下の末っ子というイメージを持たれるが、何だかんだで長男気質なところがよく出ている。
それに、重い物の買い出しは車を運転できる者が有利だ･･･。
そして残された俺とAちゃんは、こうしてバーベキューの準備を進める係を仰せつかったのである。
「───たつ君、なぁ･･･」
あの日から度々思い出す。
あの時の己の感情。
あれは───嫉妬だった。
油断、と言っては少し策略的な印象になってしまうが、正直な所はそれくらい意表を突かれた。
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匿名希望 - 更新ありがとうございます！めちゃくちゃ好きです！ (2022年10月11日 1時) (
レス) @page27 id: cc9a8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 更新ありがとうございます！続きがたのしみです◎ (2022年4月5日 4時) (レス) @page4 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年4月3日 17時
