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『はい、ほぼ荷物持ちとしてですけど』
「フフ、楽しかった？」
その質問に、私は少し考えてしまった。
極力人目に付かないよう、気を使って運転席の後ろに座ったら「いっちょ前に上座に座るな」と怒られ、雑貨店の中を一人フラフラと見て回れば「勝手に一人で行動するな」と怒られ･･･。
なんだか、大倉さんにはずっと怒られていたような気がする。
けれど、たまに大声を出して笑ってくれる姿を見ると、何故だかとても嬉しくなった───。
『そう、ですね。楽しかったです』
ようやっと答えを返すと、丸山さんは口角を少し上げて一つ頷いた。
「そうか───」
そして、私の手首を掴んでいる方とは反対の手がこちらに伸びてくると、そのまま私の横髪をサラリと耳に掛けていった。
熱い指先が耳の縁を掠めていき、やけに敏感になる。
「───でも、」
そして、丸山さんの瞳に、私の視線が絡め取られていく。
「ちょっと妬けるな」
その言葉の"意味"を上手く理解できず、私は口を半開きにしたまま呆けた表情を浮かべてしまった。
「ごめん、冗談」
すると、丸山さんはすぐに苦笑を浮かべて、ポツリと謝った。
逆に、私の反応のせいで何か勘違いをさせてしまっただろうか･･･。
どう言葉を返すべきかと考えあぐねていると、彼が深い溜め息と共に目を閉じた。
いつもとは明らかに様子の違う彼に、一抹の不安が過ぎる。
『丸山さん･･････もしかして体調悪いですか？』
そう問い掛ければ、再び丸山さんの視線がこちらを向いた。
それから丸山さんはのそりと上半身を起こすと、ずっと掴んでいた私の手首を、自分の方へと引き寄せる。
指先が彼の唇に触れてしまいそうで、僅かに掛かる吐息に、心臓が痛いくらい早鐘を打ち始めた。
『あ、あの･･･』
「体調悪いって言うたら、Aちゃんが看病してくれるん？」
『え･･･』
「どうなん？」
どうしよう。瞳を逸らせない。
心を全て、この人に持っていかれそう───。
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匿名希望 - 更新ありがとうございます！めちゃくちゃ好きです！ (2022年10月11日 1時) (
レス) @page27 id: cc9a8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 更新ありがとうございます！続きがたのしみです◎ (2022年4月5日 4時) (レス) @page4 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年4月3日 17時
