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あれ･･･？
判断を誤ったらしい。どうにか明るく盛り上がる方へ話を進行せねば･･･！
『あの、でも！そんな時にメイクの素晴らしさを知ったと言いますか･･･！リップ1つ塗るだけで、ちょっと気分が明るくなったりするんです。少しだけ自分に自身が持てるようになると言うか───』
「───そっかぁ。じゃあ、今の仕事はAちゃんにとって天職やな。やっと自分の好きな物が見つかって、ご両親も安心したんとちゃう？」
やっとニコリと笑ってくれた丸山さんに対し、今度は私が笑顔を返せなくなってしまった。
元々両親は東京へ出る事にあまり賛成していなかったし、こうしている今も心配をさせてしまっているだろう。
この進路が本当に正解だったのか、私は今も答えを出せずにいる。
「Aちゃん･･･？」
必死に口角を持ち上げて、笑顔を取り繕おうとしたのだが、それも秒でバレてしまったようだ。
『･･･全然です。同期はみんな昇進していきましたし、この仕事が自分に合ってるのかもよくわからないです』
自分の企画が通った事などほぼ皆無。
ゴリ押しして出したリップは失敗に終わり、今はもっぱら他人の企画のフォロー役が主だ。
大金を費やして私を東京に送り出してくれた両親からしたら、これ程までに面白くない話はないだろう。
『だから両親からも、いい加減こっちに帰って来いって、よく言われてます。お前には無理なんだから、諦めも肝心だぞって･･････えへへ』
だから、あなたもこんな私を笑ってください。
親身になるだけ無駄だから。
本当に救いようがない奴だなって、もういっそ笑い飛ばしてほしい。
ほしいのに───。
「───泣かんで」
『え･･･？』
「そない泣かんでよ」
泣いてる？私が？
だが、スッと伸びてきた彼の手が私の頬に触れた瞬間、ポタポタと落ちていった温かい雫が洋服にシミを広げていき、そこで初めて自分が泣いていた事に気付く。
「ごめん、無神経な質問やったな。Aちゃんを泣かせるような事してもうた･･･」
苦しそうに眉根を寄せ謝る彼に、私は慌てて首を横に振る。
『丸山さんが気にする事では･･･！むしろ、こちらこそ不愉快な思いをさせてしまいました！すみません！』
「謝らんといて。それに、不愉快だなんて思ってへんよ」
包み込んでくれるような、優しく低い声。
温かいその指先が、涙の跡をそっと拭っていった。
「───じゃあ、お詫びに今度は俺の番な？」
『･･････？』
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匿名希望 - 更新ありがとうございます！めちゃくちゃ好きです！ (2022年10月11日 1時) (
レス) @page27 id: cc9a8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 更新ありがとうございます！続きがたのしみです◎ (2022年4月5日 4時) (レス) @page4 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年4月3日 17時
