＊7(丸山side) ページ7
(お疲れ様です。どうしたんですか？)
｢あはは、なんやそっけないなぁ｣
そして返された言葉に、俺は少しの胸の痛みを感じながら乾いた笑い声をあげた。
こういう所が彼女らしい。
一定のラインまでは優しいが、その先には一切踏み込ませてもらえないような冷たさがある。
(───別に普通です。丸山さんはもう大阪にいるんですか？)
｢うん、おるで。さっきホテルに着いて、そしたら大倉から動画が送られてきてん｣
しかし、寂しい気持ちになったのもほんの一瞬で、彼女に自分の事を聞いてもらえたのが嬉しくて、俺は上機嫌で言葉を返していた。
｢あれ、すごいなぁ！最後のホームランやろ？僕やったら絶対打てへんと思うわ｣
(丸山さん、球技苦手ですもんね)
そんな皮肉な言葉さえも、自分を知ってくれているのだと思ったら、嬉しくて仕方がなかった。
｢言うね〜！でも、Aちゃんかて"一応"女の子なんやから、ケガせんように気ぃ付けや？あと、ヒール履いたままバッティングするんは危ないで？｣
そして、少しイジワルを言ってみたくなった。
もっとシンプルに彼女を心配する言葉だけを投げ掛けた方が、男としてスマートなのは承知している。
それでも、彼女と自分の間柄なら少しくらいのイジワルも許されると、そんな自己満足の証明が欲しかったのだ。
(一応、は余計です。でも、ご心配頂いてありがとうございます)
ほら、許してくれた。
こんな些細なじゃれあいにも、俺はふわふわと浮き足立つような感覚を覚えた。
(丸山さんも、くれぐれも体調に気を付けてくださいね)
｢おん、ありがとう｣
(では、明日のサタプラ頑張ってください)
｢おん｣
だが、その感覚も段々と薄れていき、やがて現実に足を着く。
業務的でテンプレートのような返答は、会話の終わりをちらつかせていた。
(じゃぁ、大倉さんに代わりますね)
｢いや、このまま切ってええよ｣
(え、そうですか？じゃぁ、失礼します)
｢ほなね｣
引き留める事なんてできない。ましてや、人のスマホで通話しているわけだし。
こういうとき、自分の気ぃ使いな性格が疎ましくなる。
せめて、彼女の声を最後に電話を終わらせたいと思い、大倉に何の挨拶もなく切ってしまったが、いまいちこのモヤモヤは晴れなかった。
｢･･･なんか、女々しいわ｣
俺は深い溜め息と共に、ベッドへパタリと倒れ込んだ。
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めめこ(プロフ) - 8七色8さん» 設定ができたようで安心しました！ご不便をおかけしてすみません。これからも作品を楽しんで頂ければ幸いです！ (2019年5月30日 18時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
8七色8(プロフ) - お返事ありがとうございます！何回かしてやっと設定できました！こちらこそ丁寧にありがとうございます。凄く面白くて一気に読んでしまいました♪ (2019年5月30日 18時) (レス) id: 8c103056a2 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - 8七色8さん» 初めまして。ご指摘ありがとうございます。[最初から読む]のボタンの上に｢苗字、あだ名の設定が可能(設定する)｣という所がありますので、そちらから再度設定してみて頂けますでしょうか？分かりづらく申し訳ございません。 (2019年5月29日 16時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
8七色8(プロフ) - 初めましてあだ名を設定してもちゃんのみの表示なのは仕様ですか？ (2019年5月29日 13時) (レス) id: 8c103056a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年3月21日 21時
