流石に一旦まずったかも。 (ページ35)

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30.5.こそばゆいページ35

fw side

彼女が目を覚ました。
顔を顰めながら体をゆっくりと起こす、

そこら辺にあった椅子に座りながら彼女を眺める。

あんな態度だったのに、大事な顔に傷をつけてでも
助けてくれた少女がどうしようもなく愛おしくなった。

なんとなく、話しかけて
それが辛辣な返しだったとしても

返してくれるだけで嬉しいのだ。

もちさんが帰ってきて彼女と話し始めるのを横目に
自分の体を見つめる。

幸せの感情がすっと引いていく、

正直もう、耐えられないと思っていた。

脳内に流れる異常なまでの危険信号に
焦りつつも何もできなかった。

手から血が流れ視界が曇って
ずはが気づいて全員の距離を取らせてくれなかったら

多分きっと

誰かを殺しかけてしまっただろう。

ノイズが走り思考が回らなくなったかと思えば
頭痛が止まらなくなる。

誰かに助けてもらうことなんて考えれなかった。
ただ、消えたかった、

記憶の底にある母親の表情
無理やり引き出されるような感覚。

能力暴走を故意的に起こされたような気がした。
…なんてありえない話だろう。

嫌な記憶を閉じ込めるように瞬きをして
彼女を見つめ直した。

m「…もちさん帰ったで？どしたん」

彼女の不服そうな顔すらも
愛おしさを感じ、笑みを浮かべてしまう。

人間って命を救われるだけで
こんなにも心が変わるんやな。

m「ええなぁ。仲ええその子。」

少しぐらい近づかせて。
あわよくば、なんて乙女チックな感情に

なんともこそばゆくなってしまった。
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※納得いってないので後日書き直す可能性があります。