流石に一旦まずったかも。 (ページ15)

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12.健気とはページ15

『…、きしょ』

「待って？それはなんかじゃない？」

森から出ようとしているのに
拭えない不信感

出てはいけないような。

口を開いてみれば
森の外の空間から声が聞こえた。

後ろからはゾクゾクと背を凍らせるような存在感に
追われているのに

前にいるが見えない男のせいで外に出られない

『事実でしょ。…嵌めた？』

きしょいと言ってしまったことに関して
事実と軽くいなして疑問をぶつける。

「まぁ、まぁまぁまぁ。ね？」

なんとも掴めないこの男。
年齢も格好もどこにいるかもわからない。

『顔ぐらい出せば？ローレン・イロアスくん。』

…なーんちゃって。

勘だけど、年齢も格好も分からないわけじゃない。
この声はさっき聞いた声だ。

「あ、やっぱバレちゃうか」

にゅらりと、独特な擬音のままに姿が現れる

赤髪の幼い顔立ちをした青年。

にぱりと笑うものだから

『変な笑顔。』

と言ってしまった。

「なんかじゃない？後輩の健気な笑顔じゃない？？」

健気とは。