誰の子だって愛しい子 (ページ40)

今日:11 hit、昨日:19 hit、合計:35,005 hit

Part11 ページ40

マレ｢？A、ハル熱があるぞ。｣

マレウスはハルの額を押さえて、そう言った。

『えっ、でも私抱っこしたけど普通だったよ？』

マレ｢僕たち、妖精属と人は体温が違うんだ。
まぁ、同じ妖精でなければ体温の違いなど分からないと思うが…｣

『そんな、急いで医者を呼ばないと…』

その時、走って近づいてくる足音が聞こえた。

セべ｢若様！A様！大変です…！｣

マレ｢セベク、その様に急いでどうした。｣

セべ｢ユキがっ、学校で熱を出したそうですっ！｣

『えっ、！』

マレ｢セベク、医者を呼んでくれ。ハルも熱がある様なんだ。｣

セべ｢何！？！？今すぐ、お呼びします！！！！｣

セベクはまた走っていってしまった。

～数十分後～

リド｢ただの風邪でしょう、なんの問題も要りません。｣

ユキは学校を早退し、ハルと一緒に診察を受けた。

すると、ただの風邪だそうで胸を撫で下ろした。

そしてなんと、たまたま来た医者は医者となったリドルだった。

リド｢A様。｣

『リドル。良いんだよ、前の呼び方で。
私は何の変わりも無い貴方の友人なのだから。』

リド｢…A。僕に時間をくれないか。少し、話がしたい。｣

私はマレウスの瞳を見た。すると、私を信じて頷いてくれた。

『分かった。バルコニーの方で話さない？』

《バルコニー》

バルコニーに出ると、私とユキが趣味でやっているガーデニングの花が揺れていた。

リドルが着ている白衣も風に靡いている。

リドルはふぅ、と息を吐いてぽつぽつと話し出した。

リド｢ユキくんと言ったかい？
あの子、マレウス先輩との子供じゃないだろう。｣

『…うん。』

リド｢ユキくんの年齢と妊娠期間を逆算すると、Aが中退した頃と重なる。
…"そんなに僕って信用無かった…？"｣

『え…？』

リド｢どうして頼らなかったんだ！！
中退する前に、僕に頼って欲しかった…！！
僕は君の友人として、相談すらして貰えないのかい？…｣

リドルは私の肩を持って、涙ながらに必死に訴えてきた。

『ごめんっごめんね…』

リドルの言葉に私も涙を零した。