267話 ページ18
メインゲームまでの残り時間は、わずか。
呆然としていた私だったが、無意識にフラフラと歩いていた。
辿り着いたのは勝者の間。
そこにはいつの間にか机に置かれているもしもしボックスと、パソコンのキーボードを一心不乱に叩いているソウさんの姿があった。
『……ソウ、さん。』
「…A……時間が、ないんだ……あと一時間でもあれば…！」
『っ……』
私たちは……このまま、死ぬのを待つしかないの…？
今まで犠牲になった人たち…それでも足掻いて、もがいて……ここまで来たのに…
「クソっ…！」
『(……ソウさんも、死んじゃう…？)』
嫌だ。
ソウさんが死ぬ、なんて…
「…A。」
奥歯を噛み締めた私の名を、ソウさんが小さく呼んだ。
さっきまで荒れていた人の声とは思えないほど落ち着いていて、穏やかだった。
「……君、言ってたよね。僕がカンナをよく気にかけてる…って。」
『え…あ……』
確かに、カンナちゃんのお姉さんの偽遺書らしきものが書かれていたスマートフォンを見つけた時、言った気がする。
小さく頷いたが、どうして彼が今そんなことを聞いたのか分からなかった。
「＿＿＿＿＿＿妹なんだ。」
『……え。』
一瞬、何を言われたのかよく分からなかった。
妹？妹って？
ソウさんの妹？
誰が？
カンナちゃんが？
え？
『ソウさんと、カンナちゃんが…兄妹…ってことですか…？』
「……うん。昔両親から聞いたことがあって…男か女か、上か下かも分からない……証拠も根拠もない。けど分かるんだ。あの子が…カンナが、僕の妹なんだって。」
『(二人は…血の繋がりがある、兄妹……)』
確かにそれは、根拠もないただの勘。
それでも、どういう訳かそれが真実なんだろうなってことをスっと頭で受け入れられた。
「…A。」
『っはい。』
「約束して欲しいことが…あるんだ。」
『…なんですか？』
「……カンナを守って欲しい。」
『！』
今までパソコンに向けられていた視線が、私に真っ直ぐ注がれる。
けど少しだけ瞳が揺れていて、不安そうだ。
何か縋るような、願うような。
…私がこの人の頼みを断ったことが、今までにあっただろうか。
『…当たり前ですよ。私も…カンナちゃんを守りたいから…約束です。』
「…ありがとう。」
私の言葉に薄く笑ったソウさん。
そして視線はパソコンへと戻った。
『(……カンナちゃんを、ソウさんを…)』
＿＿＿＿＿＿守らなくちゃ。
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ルイ(プロフ) - なうなうみるきぃさん» いつもありがとうございます！把握です！ (2022年11月24日 20時) (
レス) id: bd10cc1afe (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - さとりさん» 私的には同じ日に1話ずつ投稿するという風に考えております！ (2022年11月24日 20時) (レス) id: bd10cc1afe (このIDを非表示/違反報告)
なうなうみるきぃ(プロフ) - いつも作品読ませてもらってます！自分的には片方ずつ進めてほしいです。 (2022年11月24日 19時) (レス) @page18 id: 11bb46ad6e (このIDを非表示/違反報告)
さとり(プロフ) - 並行というのはその日カンナちゃんを書いて次の日にソウさんを書くということでしょうか？もしそうなら私は片方ずつを希望します。 (2022年11月24日 19時) (レス) @page18 id: efc4d587e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイ | 作成日時：2022年11月9日 17時
