49の約束 ページ50
強く、強く握ったのに、いつの間にかするりと両手は離れていく。
「Aちゃんはカンナの大切な友達です…お願いします、ソウさん。」
「……」
カンナちゃんの言葉に、彼は何も言わなかった。
しかし満足そうに微笑んだカンナちゃんは、今度はサラさんの方を…皆の方を見渡して口を開く。
「ソウさんとAちゃんを、よろしくお願いします…皆で、仲良く…」
どうして最期まで、私達のことばっかりで…
「カンナと友達になってくれてありがとう…！Aちゃん…！」
『っ…私の、私の方なの…！私にとってカンナちゃんは大切な友達で…カンナちゃんに出会えたことが、何よりの幸福で…！！』
あの時言えなかった言葉が、涙と一緒にボロボロと零れ落ちていく。
もっと伝えたいことがある、言いたいことがあるのに。
何か詰まったみたいになってしまって声は言葉にならず嗚咽にしかならない。
「ありがとう…最期にそれを、Aちゃんの言葉で聞けて良かった…」
『いや…やだ…！逝かないで…！！』
「……首輪装置”人間フラワー”。作動します…！」
私の手は、私の願いは、また届かなかった。
ピッピッピッピッ、という電子音が鳴ったかと思えば、カンナちゃんの手足は拘束され、壁に固定されていく。
「うっ…」
『カンナちゃん…！！』
苦しそうに顔を歪ませたカンナちゃんに、茎が伸び、葉が巻き付き、命を蝕んでいく。
ハンナキーが何かを言っていたけど、まるで頭に入ってこなかった。
「A、ちゃん…」
でも、どんなに小さくても、か細くても。
大切な貴女の声だけは、聞き逃さない。
「もう一つだけ…約束、して…？」
痛いはずなのに。
苦しいはずなのに。
「生きて…幸せに、なってね…！」
私に向けるその表情は、悲しいくらいに笑顔だった。
「大好きだよ、Aちゃん…！」
『＿＿＿＿＿＿私も、大好き。』
私のその声が、聞こえていたのか、聞こえていたのかは分からなかったけど。
でも、カンナちゃんは最期まで笑顔でいてくれた。
私の幸せを、願ってくれていた。
ああ、貴女はどこまでも美しく、尊く、強い少女だった。
木津地神奈＿＿＿＿＿花と散る。
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ルイ(プロフ) - にしんさん» コメントありがとうございます！応援とても励みになります！これからも楽しんでいただけると嬉しいです！！ (1月16日 8時) (
レス) id: bd10cc1afe (このIDを非表示/違反報告)
にしん - 主人公の心情がよく見えて、すごく面白かったです！ 更新頑張って下さい、これからも応援してます！ (1月15日 21時) (レス) @page19 id: 8474802cab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイ | 作成日時：2023年12月24日 18時
