43の約束 ページ44
「…投票の時間です。これ以上は、待てません……投票パッドに触れてください…！皆死んでしまいます…！」
死ぬ。
そうだ、死んでしまう。
私達の投票によって。
「分かった、おまわりさんは…カンナちゃんに投票したよ。」
そう言ってケイジさんは投票パットに触れた。
しかし当然ながら、そんな彼に信じられないと視線を向ける者もいる。
「冗談じゃねぇ！！見損なったぜよケイジ！！大人の為に子供を犠牲にするなんて…やっちゃならねぇ悪魔の選択肢ぜよ！！俺は…俺はソウに投票するぜよ…！！」
「その通りだぜQタロウ…！！私は…カンナが足でまといとも思ってねぇ！！投票するのは…ソウだ！！」
「それでいい…！！これで自己投票を入れてもこっちが多数派だ…！！」
まだ投票していないのは、ギン君とサラさんと私の三人。
「ギン…君も投票しやすいだろう…？」
「ぼ、僕は……陰キャのこと大っ嫌いだけど、死んで欲しいわけじゃないよぉ…！」
苦悶の表情を浮かべるギン君の目からは涙が溢れだし、流石のソウさんも取り乱した。
泣き続けるギン君の背中を、サラさんがそっと支える。
「大丈夫だ、ギン。カンナに投票すればとりあえずは同数票になる…ギンが責任を負うことは、ない。」
「……バケツ女に、投票したニャン…」
いつもつけてる手袋を外すと出てくる、細い指が電子パットに触れた。その手はすぐに手袋の中に隠れてしまったけど、確かに震えていた。
「＿＿＿＿A。」
ギン君の選択で更に顔色を悪くさせたその人が、今度は私の名前を呼んだ。
「Aなら、僕に投票してくれるだろ…？カンナが、何より大切だろう？」
微笑みながらも震えた声は、そうであってくれと望んでいるようにも聞こえた。
『(私は…どっちも……大切で……)』
「＿＿＿＿Aちゃん。」
今度はケイジさんから投票されて今まで黙っていた彼女が私の名前を呼んだ。
『……！』
そして彼女のとった行動に、きっと私にしか分からない彼女の行動に、思わず息を飲んだ。
少し伸ばされた手は拳を作り、小指のみがピンと立っている。その小指の先には短く切られた桜色の綺麗な爪が見えた。
＿＿＿もしそうなったら、カンナの分まで…ソウさんのそばに、いてほしい＿＿＿
＿＿＿……わかった。でも…私に何かあったら、カンナちゃんがソウさんのそばにいてあげて＿＿＿
＿＿＿…うん！約束＿＿＿
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ルイ(プロフ) - にしんさん» コメントありがとうございます！応援とても励みになります！これからも楽しんでいただけると嬉しいです！！ (1月16日 8時) (
レス) id: bd10cc1afe (このIDを非表示/違反報告)
にしん - 主人公の心情がよく見えて、すごく面白かったです！ 更新頑張って下さい、これからも応援してます！ (1月15日 21時) (レス) @page19 id: 8474802cab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイ | 作成日時：2023年12月24日 18時
