35の約束 ページ36
ソウさんは私の言葉を聞くと、ゆっくりと私に視線を向ける。
動揺も混乱も彼にはなかった。
ただ漠然とした、しかし僅かにだけ滲み出る恐怖がそこにあるのみだった。
「……君はいつも、突然だね。聞いてなかったの？僕の名前は…」
『景品交換所には顔写真はありますけど、名前なんて書いてないんです。貴方だけが…本名を証明できません。』
クギエさんはカンナちゃんのお姉さんだから、カンナちゃんが証明できる。
ナオさんはミシマさんにずっと名前を呼ばれてたから証明できる。
ジョーさんはサラさんのクラスメイトだから証明できる。
カイさんはパソコンのメールの送受信記録から証明できる。
『貴方のことを、全て知ってるわけじゃない…けど、貴方が優しいことは、知ってます。貴方は私に、たくさんのものをくれました…』
笑顔も、信頼の仕方も、苦しさも、大切なものも、全部貴方がくれた。
『だから…生きてください＿＿＿＿＿
もし、許されるなら。
私に貴方の未来を願わせて。
「……本当に…君は、どうかしてるよ…」
貴方だ。貴方の存在が、私を変えてしまった。
このデスゲームが始まってからの時間の経過なんて分からないけど、人生の中のこんなに短い時間の中で、貴方の存在は大きすぎた。
「でも…そんな君だから、僕は……」
『ソウ、さん…』
「……君の言う通りだよ。」
『！』
「僕は…僕の名前は、月見真だ…！」
その瞳はとてつもない何かを抱えていた。でも、それを全部抱えたまま、前に進むと決めてくれたのだ。
「この際全部教えてあげるよ…その名簿の秘密も…！」
「知ってるニャン！？」
予想外の言葉にギン君が大きな声を出すと、ソウさんは眉間に皺を寄せて名簿を見る。いいや、睨んでいると言ってもいい。
でもその視線には、何処か苦しそうな感情が見え隠れしていた。
どうやらその名簿は、彼が最初の試練で手に入れたものと全くものだという。
「教えるぜよ！一体この名簿はなんなんじゃ！？」
「デスゲーム参加者の…勝率表、だよ…」
『しょ、勝率って…』
まさか左のパーセンテージのことを言ってるんじゃ……
思わず目を見開いてソウさんを見る。彼は諦めたように頷いた。
「Aの思ってる通りだよ…紙の左側にあるパーセンテージが…このデスゲームで最後まで生き残る勝率なんだ…！！」
それはあまりに、残酷な
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ルイ(プロフ) - にしんさん» コメントありがとうございます！応援とても励みになります！これからも楽しんでいただけると嬉しいです！！ (1月16日 8時) (
レス) id: bd10cc1afe (このIDを非表示/違反報告)
にしん - 主人公の心情がよく見えて、すごく面白かったです！ 更新頑張って下さい、これからも応援してます！ (1月15日 21時) (レス) @page19 id: 8474802cab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイ | 作成日時：2023年12月24日 18時
