29の約束 ページ30
「答えてくれ…A。Aは、身代なんだな？」
私は兄を否定し、自分を誘拐犯側の人間に見せようとしていた。
全ては、ソウさんに集まるだろう票を私に向けるために。決選投票に残ってしまったカンナちゃんを身代と認識させるために。
そしてメインゲームの前に、カンナちゃんを死なせないために、お互いを納得させるための賭けを行った。
そしてカンナちゃんが平民だと主張し、彼女を身代だと主張していた私が嘘を認めたのなら…そういうことになる。
けれども、言ったはずだ。
『私は…嘘はついてません。』
カンナちゃんの画面を見たのは本当だし、私の電子パッドに平民が映ったのも、本当。
私の言葉を聞いて皆の表情が曇る。けれど、一部の人たちは何か疑念を抱いたようだった。
「…カンナ。さっき自分は平民だと言ったな。」
「は、はい！」
「でもAは嘘をついていない…その言葉を信じるなら、二人とも平民だということになる。」
「でも、あの時もしもしボックスを使えたのはあの二人しかいなかったはずだぜ…？」
レコさんの言葉にサラさんが考え込む。そして、何かに気づいたように顔を上げた。
「A。さっき嘘はついていないと言ったが…それなら、カンナの電子パッドを見たこと自体は本当か？」
『…はい。』
「カンナの電子パッドには映っていたのは…平民か？」
思わず、一瞬呼吸を止めてしまった。
それを認めてしまったら、カンナちゃんは、もう。
どうすれば、いい。どうしたら…
「…」
ソウさんは、とても不安そうな顔をしていた。
それは多分、真実を知りたがっているんだと思う。
ソウさんの中で仮説があって、それがあっているのか確かめたい。
もしくは……信じたいことがあって、それを肯定してほしい。
確証はないけど、きっとどちらかだと思った。
『……はい…』
あぁ、言ってしまった。
認めてしまった。
目の前がぼやけて何も見えなくなっていく。
自らの手をついている砂時計の形をした机に、ポタポタと水滴が落ちていった。
「それは…交換が正しく行われなかったということだ。でもそれなら、そのまま私の元に身代があるのがルール通り…しかし、私は身代ではありません…ということは、考えられる可能性は一つです。」
「まさか…」
え……？
「＿＿＿＿＿フロアマスター、ガシューの不正…！」
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ルイ(プロフ) - にしんさん» コメントありがとうございます！応援とても励みになります！これからも楽しんでいただけると嬉しいです！！ (1月16日 8時) (
レス) id: bd10cc1afe (このIDを非表示/違反報告)
にしん - 主人公の心情がよく見えて、すごく面白かったです！ 更新頑張って下さい、これからも応援してます！ (1月15日 21時) (レス) @page19 id: 8474802cab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイ | 作成日時：2023年12月24日 18時
