22の約束 ページ23
『(…やっぱり、そういう話になるか。)』
手のひらをぐっと握りしめても心の内はざわめくばかりで、ちっとも落ち着かない。
自分がどうすればいいのか、分からない。
だって結局何も変わっていないのだから。
ケイジさんが鍵番なら、もう、私にできることはない。
ただただ、絶望と地獄に落ちていくのを待つしかないのだ。
「…何か隠してないか、カンナ。」
「え…？」
「そういえばあの時、カンナの姿だけ見なかった気がするんだが、本当はどこに…」
『カンナちゃんは私とずっと一緒にいました。本当にうろうろしてただけです。』
「！」
「…私はカンナに聞いているんだ。」
『証言したつもりだったんですけど、私の話は聞きたくないと…そうですか。』
「そんなこと…！！」
「あの！！」
最悪の雰囲気が流れる私とサラさんの間に入ったのは、カンナちゃん本人だった。
「…落し物、探してたんです…Aちゃんとはその途中から一緒にいました…」
落し物…？
それが本当なのか嘘なのかは分からないが、その一言でとりあえずは私とサラさんの睨み合いが中断された。
サラさんは複雑そうな表情で未だ私を見ているが、私は視線を返さない。
そのまま放置していれば、サラさんは違う人に話を聞きに行くだろう。
『(もう…私もここまで来たか。)』
サラさんとはもう、元には戻れないだろう。
他の皆とも、きっと……
「カンナ…落し物ってスマートフォンのことか…？」
「どうしてそれを…！」
スマートフォンというと…カンナちゃんが最初の試練を行った場所で見つけた、あの？
「ギン、どこでそれを手に入れたのか教えてくれ。」
「階段をだいぶ降りたところに落ちてたニャン。」
『！！』
気づかなかった。
あの時、急いでロビーに向かっている時に落としたんだ。
「やれやれ…皆で階段を上がった時に落としちゃったんじゃない？」
「＿＿＿カンナを庇ってるんですか？ソウさん。」
「僕が？カンナを？」
余裕そうに笑みを浮かべている彼の手が、微かに震えているのが見えて泣きそうになった。
「階段を上がる時、ソウさんとAとカンナの三人で先頭を歩いていました。スマホを落としたら…皆気づくはずなんですよ。」
『(そりゃ……そうだよね……)』
後ろを歩いていたら、気づく。
私はあの時、後ろを歩いていれば良かったんだろうか。
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ルイ(プロフ) - にしんさん» コメントありがとうございます！応援とても励みになります！これからも楽しんでいただけると嬉しいです！！ (1月16日 8時) (
レス) id: bd10cc1afe (このIDを非表示/違反報告)
にしん - 主人公の心情がよく見えて、すごく面白かったです！ 更新頑張って下さい、これからも応援してます！ (1月15日 21時) (レス) @page19 id: 8474802cab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイ | 作成日時：2023年12月24日 18時
