10の約束 ページ11
「着せ替え人形がこっちを見た瞬間、その映像は終わって消えたニャン……別にA姉ちゃんを疑ってるわけじゃなくて…」
『……そっか…』
ごめん…私はそれを＿＿＿裏切ってしまう。
「A…もしかして、ユキという人物に心当たりがあるのか…？」
『…ありますよ、もちろん。ユキは…私の兄ですから。』
私の一言で皆はギョッとした。でも一人だけは、険しい顔で私を見つめる。
『(ソウさん…大丈夫です…)』
貴方を、貴方達を守れるくらい、強くなってみせるから。
「…Aちゃん、こんなことは言いたくないけど……君のお兄さんが誘拐犯側の人間ってことは…」
「っけ、」
『そうだと言ったら！…どうするんですか？』
何か叫ぼうとした…恐らくケイジさんの言葉を止めようとしたソウさんの言葉を遮るようにそう答えると、皆は信じられないようなものを見る目で私を見た。
今度は、誰一人例外なく。
「…それはどういう意味かな、Aちゃん。」
ありがとうケイジさん。誰より聡くて大人な貴方なら言ってくれると思ってた。
『確かにユキとノエルは面識があった…それは事実だと思います。ノエルはユキのことを知ってましたからね。』
そうでしょう？とサラさんやナオさんの方を向く。
「あの時…ノエルが最期に呼んだ”ユキ”…それがAのお兄さんのことだってことか？」
『そういうことでしょうね。少なくとも…一方的な関係には見えなかった。と、いうことは…？』
舞台に上がった道化みたいに、ニヤリと笑みを浮かべてみた。
それだけで皆の表情が引き攣ってくれるのは、私の笑みが余程不気味だからか、初めて見せた表情だからか。
「君は…それを知っていたのか？」
『さぁどうでしょう。でも私の兄は一年以上家に帰ってこなかった時期があったんです…帰ってきてから兄の様子はおかしくなってました……何があったんでしょうね。』
嘘はついてない。詳細を語っていないだけ。
「その期間の間にこの組織に接触したってことか…？」
「様子がおかしくなったってどういうことだよ…！」
「Aちゃんの名前を呼んでいた…もしお兄さんが組織のメンバーなら、Aちゃんを入れようとしていたってこともありえるのかな。」
深読みして、考えて、分からなくなってしまえ。
そして疑え。私を、私の存在を。
「A…お前は……＿＿＿誘拐犯側、なのか…？」
震えた声でそう聞いてきたサラさんに、笑みを隠せそうになかった。
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ルイ(プロフ) - にしんさん» コメントありがとうございます！応援とても励みになります！これからも楽しんでいただけると嬉しいです！！ (1月16日 8時) (
レス) id: bd10cc1afe (このIDを非表示/違反報告)
にしん - 主人公の心情がよく見えて、すごく面白かったです！ 更新頑張って下さい、これからも応援してます！ (1月15日 21時) (レス) @page19 id: 8474802cab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイ | 作成日時：2023年12月24日 18時
