1の約束 ページ2
メインゲームまでの残り時間は僅か。
皆が呆然と立ちすくむ中、私は一人でその場を立ち去る少女を視界の端に捉えていた。
『(カンナちゃん…？)』
何か嫌な予感がして追いかける。
彼女の背中に追いついたのは、私たちが登ってきた階段の途中だった。
『カンナちゃん…！』
「！…A、ちゃん？」
『…どこ、行くの？』
焦ったような表情の彼女を見て、止めて正解だと思った。
彼女が何をしようとしているのかは、まだ分からない。
でも彼女を止めなければ、彼女はどこか遠くに行ってしまうような気がして。
「……さっきの、見て…つい、逃げ出しちゃって。」
『…そっか。』
そうだ。
カンナちゃんは皆が絶望している中、一目散に駆け出していた。
これはただの主観であり勘だけど…一心不乱に駆け出した訳じゃなくて、何か目的を持っているように思う。
『(考えろ……カンナちゃんは、何を…？)』
階段をおりた先にあるのはロビーだ。
ロビーからはモニタールームや個人の部屋、どこでも行ける。
そこに行って…何をする？何が出来る？
もうすぐメインゲームが始まる…そしたら、少なくとも二人は死ぬ。
カンナちゃんはそれをどう回避しようとしている？
いや……今、この時点で彼女は何がしたい？
何を変えたい？
何を、変えられる？
『(……あ…)』
目に入ったのは、カンナちゃんの緑髪。
その色で思い出した、私たちの持つソレを変えるもの。
『(もしもしボックス…！)』
間違いないと確信した。
カンナちゃんはどこまで知っているのか分からないけど、賢者と鍵番は現時点で私は分からない。
でも確実に分かるのは、身代を持っているのがサラさんということ。
おそらくこれは、カンナちゃんもサラさんの反応的に分かっているだろう。
そしてメインゲームまでほとんど時間はなく、信頼売買ゲームで劣等生だった彼女が役職を交換出来る可能性は低い。
そしてそのまま身代として参加したサラさんが死んでしまう可能性は、高い。
カンナちゃんはそれに気づいた。
カンナちゃんは……サラさんを慕っていた。
それこそ、お姉さんと重ねてしまうくらいに。
でも、でも…！
『(私は、カンナちゃんに死んで欲しくない…！)』
「あの…カンナ、もう…」
『待って…！！』
「！」
『待って…待って、カンナちゃん……』
「Aちゃん…カンナは…」
『サラさんと交換しに行くんでしょ…！』
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ルイ(プロフ) - にしんさん» コメントありがとうございます！応援とても励みになります！これからも楽しんでいただけると嬉しいです！！ (1月16日 8時) (
レス) id: bd10cc1afe (このIDを非表示/違反報告)
にしん - 主人公の心情がよく見えて、すごく面白かったです！ 更新頑張って下さい、これからも応援してます！ (1月15日 21時) (レス) @page19 id: 8474802cab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイ | 作成日時：2023年12月24日 18時
