529話 ページ30
私が交わしたのは、きっと悪魔との契約だった。
同意書にサインした次の日、彼は私にユキを虐めた人達の情報をまとめて持ってきてくれた。
どいつもこいつもクソみたいな人間。
未成年のくせにタバコに手を出し、酒に手を出し、小さな頃から弱いものいじめで地位を得てきた人間。
他にも万引きや闇バイトに手を出してる人間もいた。
あぁ醜い。なんて酷い。
今までもいっぱいいっぱい人を傷つけてきたんだろう。ユキみたいな、私達みたいな被害者がたくさんいるんだろう。
そんな奴らは、地獄に落ちればいい。
私はそんな一人一人にソウさんと一緒に会いに行った。
基本話すのは私だったから、ソウさんは後ろでニコニコしてるだけ。
それでも独特の雰囲気を持つ彼の存在は奴らにとってかなり恐ろしかっただろうし、私にとってかなり心強かった。
一人ずつと顔を合わせて、話を聞いて、全員がクズだと改めて確認したところで地獄に落とした。
それは死ではない。
時として死は救いにもなってしまうから。
だから奴らのやってきたこと全部白日の下に晒しあげて、社会的に殺した。もうこれからの人生まともに生きていくことはできないだろう。
一人ずつ地獄に落として、そして、後は、後はあの人だけだった。
あの人だけは私一人で会いに行くことにした。
会うことはソウさんには言ってなかったけど、もしかしたらバレていたのかもしれない。
だって、私を助けてくれたのは、多分彼だった。
あぁそうだ。確か、私は……
あの人は、あの人は、×××だけは…！！
×××だけは…！！！！
＿＿＿＿＿＿あの日私は、×××を地獄に落とすことが出来なかった。
カチッ
紫の光が途切れた。
ポタポタと地面に落ちる雫と乱れる荒い息の音。
まだ、まだ、消さないで。
私の過去、私の記憶。
まだ浸らなければ、溺れなければ。
カチッ
再び光が瞳を照らし、奥まで届き、脳裏を包み込む。
＿＿＿××、これ×お×××んだ×＿＿＿
何かが私の頭に響く。けど、雑音が多すぎてよく聞こえない。
＿＿＿大××。いつ××××、×える××＿＿＿
誰、誰なの。
＿＿＿××××。A＿＿＿
カチッ
『……っあ、』
「＿＿＿＿＿＿＿＿A…！！」
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作者名：ルイ | 作成日時：2023年7月1日 17時
