【刀剣乱舞】けっこう、笑って生きていきます【ブラック本丸】 (ページ3)

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2-1 神隠しページ3

『(まけたか…)』

Aは、ほっと息を漏らす。どうやら、逃げ切れたようだ。

最近、やけに妖に追いかけられる。

おかげで、貴志は「気」にあてられて体調を崩してしまった。

Aは嘆いた。

隣に夏目が居るのがあたりまえすぎて、近頃は少し寂しい。

それにしても、今日のキツネはしぶとかった。
四足歩行だからなのか、恐ろしく速いのだ。
加えて、四方八方からどんどん増えるときた。

『(疲れた)』

Aは木に寄りかかる。

Aは、神社の桜の木の上にいた。神に対し、無礼だとは思ったが、なるべく狐から離れたかった。

『(それにしても…)』

あのキツネたちは、何が目的だったのだろう。

Aがこの神社に逃げ込むと、ピタリと足を止めた。

妖は不浄なものだから、神社(神域)には入れない。

それが狙いなので、嬉しい限りだが、なんだか、こう、他とは違かったのだ。獲物をしとめ損ねたのだから、悔しがるだろう。少なくとも、Aを追いかける奴らはそうだった。

しかし、あのキツネたちは悔しがるそぶりなど見せず、煙を残して消えた。一瞬、笑ったようにさえ見えた。

ざあっと風が桜の木を揺らす。

ぶわあっと蒼穹の大空に舞う桜吹雪は、目に鮮やかで美しい。

もっと見惚れていたかったが、風が巻き上げた砂を避けて、目はまぶたを閉ざす。

まだ、桜は見られるかな。

淡い期待を抱いて、目を開ける。

『…あれ？』

桜、ない。

いやいやそれはいい。仕方ないと諦められる。

だが、命は、命と貴志だけは、「はいそうですか」とは言えない。

なのに、目の前には鬼？ Aの視界いっぱいに迫り来る。

フーッ、フーッとふいごのように荒い息、武士のような鎧と肩に担いだ刀。大きさからして大太刀だろう。

『(しかも、なんか木の上じゃないし。終わりましたわー(＾ω＾))』

しかし、日頃から、異形のモノを相手にしているだけあって、頭は冷静だった。

絶体絶命大ピンチな状況でも、ギラギラと光る目が感情を抱いているのに気づいてしまった。

こんな状態だが、Aは思わず言ってしまう。