【刀剣乱舞】けっこう、笑って生きていきます【ブラック本丸】 (ページ11)

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9-1 審神者…？ページ11

『はあ…』

「おつかれ。おねえちゃん」

「ごくろうさまね」

「え⁉ もふもふする⁉」

やばい。ふわっふわ…。

八朔の毛皮にダイブして癒される。ふとももに移動したナナもあったかい。しおりはくっついていてくれるし…。

あのあと、親戚や遠縁の人たちから電話をAは受けていた。

Aがいくら誤解だと言っても、誰も聞き入れてはくれなかった。

スマホが震えた。

またかと思い、だるい気持ちで電話に出る。

『はい。もしもし』

「あっ Aちゃん？」

『藤原さん⁉』

「やあね。塔子でいいって言ってるじゃない」

藤原塔子さん。弟の貴志を引き取った人だ。

優しく、朗らかに笑う人でAも信頼していた。

「審神者就任試験…だったかしら。合格おめでとう」

『はあ。でも、私、受けてないんですよ』

「まあ、そうなの？」

画面の向こうから驚いた声が聞こえる。

「そうだったの。…ねえ、こんなこと、聞いてしまうのはあれなのだけど…」

声が小さくなった。言いづらそうだ。

Aは対照的に明るい声を出す。

『？なんですか？』

「…、その、御親戚からお電話があったと思うの。大丈夫だった…？」

『(！この人は、心配してくれている。)…はは。大丈夫…と言ったらウソになってしまいますね』

嬉しかった。他人が、ひとが、自分のことを考えていることが。

ただ、何より嬉しかった。

「塔子さん。そろそろ変わってほしいな」

「あら、滋さん。やあね、私、そんなに話していたの？恥ずかしい…。Aちゃん、いつでも遊びにいらっしゃい。ね」

『はい。ありがとうございます』

「もしもし」

『おはようございます、ふじ…滋さん』

藤原滋さん。この人は、塔子さんの夫で、塔子さんと一緒に夏目を引き取ってくれた。

厳格そうな顔つきだが、いつも静かに笑っている、穏やかな人だ。

だが、芯が強く、家族愛に溢れている。

「すまない。審神者就任試験…だったか？を、合格したと聞いて、おめでとうと言いたかったんだが、受けてないらしいな。」

『はい。私もよくわからなくて…』

「まあ、その、なんだ。私たちの家に来たかったら、いつでも来なさい。貴志も会いたがっているし、部屋は空いている。一緒に住んでもいい、歓迎する」

『(～ッ)は、い。ありがとうございます』

胸の奥がむずむずしてくすぐったかった。

でも、泣きそうなぐらい、嬉しかった。