【Fate/Grand Order】人は、何を想い、何を願うのだろうかⅠ【派生作品】 (ページ38)

今日:9 hit、昨日:11 hit、合計:16,384 hit

star*35 ページ38

.

「ばばばばば馬鹿野郎！なに気安く話しかけてんだ、この阿呆！」

「は？だってお前、聡太のこと気になってんじゃん」

「いやまあそりゃ気になってはいるけどよ」

「面倒くさ、女子か。お前」

「誰が女子だ！！」

「じゃあ、なに。ちょっと馬鹿な俺にもわかるように説明してくんないー？」

何故かしゃがみこみ話し込む弓陣営。
身振り手振りが激しい紅蓮の英霊の傍ら、膝に頬杖をつき、うんうんと頷くマスターという図を見せられつつも騙し討ちの１つもしない剣陣営も剣陣営でなんやかんや根が真面目なのだろう。

「だぁかぁらぁ、あのセイバーのマスターが」

「うん」

「……その、あれだよ」

「………おう」

「"パール様"に似てるんだよ…」

「ん？なんて？もっかい」

「パール様に似てるんだよ！！！！」

「あーーー、なるほど？いやあれは聡太だから、"パール様"じゃねぇから。頭わいたか？…痛っ！」

「んなこたぁわかってんだよ！！！」

ここまでくると漫才だといってもいい。
なにを見せられてるのかわからなくなってくる剣陣営だが、漸く話しがまとまったのかこちらへ歩いてくる紅蓮の英霊を目にすれば身構える。

不幸中の幸いか。
どうやら、弓陣営の大変偏差値が低い会話は聞こえていなかったらしい。

「遠坂。漸く準備が整ったのか？なら、始めるぞ。セイバー、行けるな？」

「ええ…マスターが望むのなら…」

「アシュは？大丈夫かー？」

「おう…男に二言はねぇ…」

投擲武器"スダルシャナ・チャクラ"を背負い込む紅蓮の英霊に。
聖剣"エクスカリバー"を構える蒼穹の英霊。

両者、間合いの外より互いの読み合いは始まるも火蓋が切られるまではそう時は要さず。
右に左に刃を交えては離れ、それは閃光を散らす。
交わる金属音を背景に、両者の表情は優れない。

理由は明白。
互いに戦う理由よりも戦いたく理由が上回るためだ。

「セイバー。打ち込みが甘いぜ。調子でも崩したか？」

「なにを言う。貴殿こそ、軽い斬撃。拳にも意志が宿っていないようだが」

「はっ、気のせいだろ…っ！」

「ならば、こちらも気にかけていただかなくて結構」

「気の強い、騎士姫様だな…っと」

斬撃に合わせ、拳と繰り出される足技を巧みに柄、防具で受ければ翻し交わす。
近づいてはまた離れ、また交わる一進一退の攻防。

戦闘は互角。
否、互角というよりこれは――。