【Fate/Grand Order】人は、何を想い、何を願うのだろうかⅠ【派生作品】 (ページ37)

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互いに向き合い戦闘が始まる…そう思われたが。
どうも、互いの英霊の様子が可笑しい。

一歩前に出たはいいが、どうも闘気、覇気を感じないというべきか。

紅蓮の英霊は憧憬を。蒼穹の英霊は後ろめたさを。

よもや一歩道を外れた過ちの可能性を考え、にやりと口角が上がるが笑っている場合ではないことは彼も理解している。だが触れずれにはいられないではないか。

「アシュ、お前まさかとは思うけどさー。セイバーに一目惚れしたとか…もしくはそれ以上の関係とかそういうのじゃないよな？」

そう囁いてみれば、尚のこと紅潮するものだから面白く思うのは自然の摂理だ。
まさかとは思ったが、これはどうやらまさかの事態が起きてしまったようだ。

「お前の気持ちはわかるよー？確かにさ、かわいいもんな。騎士姫様って感じ？凛とした花っていうかさ、わかるけど。お前、それはいけないだろー。俺もこう見えても真剣に聖杯戦争やってんだからさ？」

「……は？！ばっ、お前、なにを誤解していやがる？！！誰が一目惚れだっ。というか、お前のどこが真面目だって？俺が現界してからしたことがなにかわかるか？ああ”？餓鬼の世話と安売りセールにダッシュだ。以上だ！！」

「言われてみれば確かにそうだな。うん、どんまい。俺のとこに来たのが運の尽きだったな、アシュ！」

「お前、どこまでポジティブなんだよ…というか、なんで俺が残念なやつみたいになってんだよ。ああああああ、苛つく！！だが、今は抑えろ、抑えるんだ、俺ぇ…」

頭を押さえ、どうも感情を抑えようとする紅蓮の英霊を前にすれば疑問がわく。
恋愛感情じゃなきゃなんだという話しだ。
そもそも、こんなに戦いたがっているというのに渋ってる時点で食い違う。

そのことに気付いたのは彼の視線の先を見据えたときだ。
共に、隣へと立ち目を凝らし良く見つめれば、まさかとは思うが見つめていたのは。

「え、お前、まさか。"そっち系"だったの…っドン引きだよ、俺ぇ…いや別に否定はしないけどさ…俺は圧倒的にセイバー派だわ…」

「"そっち系"？お前なにいって…」

「…だけど、お前がそんなに熱い視線を送るっていうならわかった。しゃーない、俺も力になるって。うんうん」

「は？」

「ちょっとたんま！聡太！ちょっと始める前に話しがあんだけど！」

そこそこの距離からか。声を張り上げることになるのは必然。
そんな光景を目にした英霊はというと慌てふためきなんとか黙らせるのだった。