【Fate/Grand Order】人は、何を想い、何を願うのだろうかⅠ【派生作品】 (ページ31)

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間桐家、邸宅――。

薄暗い空間に、ランプの灯をともし少年は一人沈黙した。

遅参したアサシンのマスターを最後にこれで全陣営の戦力を把握した少年は、
その小さい身体に抱えるにはあまりに大きい両親からの期待を両肩に背負っていた。

勝つためには手段は選ばない。

魔術師の根幹など考えても無駄だということは彼自身が一番理解していた。

結果がすべてであり、過程など誰も見ていない。

どんなに努力したところで、結果が振るわなければそれは―。

ただの怠惰な人間だとみなされる。

そしてそのような評価を得ている者こそ、間桐聡太その人であった。

「アサシンは後だ。まずは、そうだな…あの目障りな"遠坂"から消すか」

始まりの御三家である"遠坂"の跡取り、遠坂隆司とは年齢は離れているといえどそれなりに交流のある相手ではあった。それは決して、聡太自身が望んだ関係ではなかったがその気持ちとは裏腹にかかわりを持たなければならない機会は多かった。

聡太は"彼"のことが嫌いだった。

彼を見ると自分自身がとんでもなく惨めで、寂しい奴だということを自覚せずにはいられなかったのだ。

両親を亡くし確かな財産もない彼と両親も財産も持つ自分。

火を見るよりも明らかなはずなのに、彼は自分よりも幸せそうだった。
両親を亡くしても、お金がなく貧乏だとしても、二人の妹弟を守り決して笑顔は絶やさない。

魔術の才能だって、きっと自分の方が勝っているはず。

だけど、それでも。
彼の笑顔は幸せであるとそう語っていた。

きっと、サーヴァントを迎えてもそれは変わらないのだろう。

彼奴ならうまくやる。彼奴なら彼奴なら彼奴なら…っ

「セイバー、遠坂の双子をここへ連れてこい」

ならもういい。僕はより確実な手で勝利してみせる。

「聡太！何故そのようなことを！できません、そのようなことは決して」

「なんだって？」

そう決めたはずなのに、何故このサーヴァントは自分の前に立ちはだかるのか。
自身のサーヴァントでさえ思い通りにならないことに訝りを覚える。

「よく考えて、聡太。落ち着けばわかるはずです。貴方は本当はそのような戦いは望んでいない。後々に必ず後悔をする…ですから、」

「煩い煩い煩い！お前なんかになにがわかるんだよ！なにもかも手に入れたお前に、僕の気持ちのなにがわかるっていうんだよ！！」