【Fate/Grand Order】人は、何を想い、何を願うのだろうかⅠ【派生作品】 (ページ23)

今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:16,370 hit

star*20 ページ23

.

それしても彼は何者だ？
到底、一般レベルの魔術師とは思えないのだが…どう思う、翁。

"然り。一種変わった魔力を感知したが…"

やはりか。
だが、この魔力は確かにここへきてから一度感じたものであるはずだが、さてどこだったか。

「碧っ。本当にありがとう…私の方がお姉さんなのに面目ない…本当にっ。貴方はこの戦いとは全く関係のない人なのに…」

「アイリス。お前が心を痛める必要などない…此奴は、お前が狙われようと狙われなかろうとこの戦いには割って入ってきただろう…そういう人種だ。私のよく知る者にある意味似ている…」

「なんだかひどい言われような気もするけど。まあ、いっか」

「そこは流すところではないと思うのだけれど…まあ、貴方がいいというのならいいわ」

そんな仲睦まじい彼らを目にすれば、平和だなと小さく笑みがこぼれる。

「君たちは知人のような睦まじさだが…どうやら知人ではないようだな」

「うん。僕はあくまで通りすがっただけだよ」

「そうか。君にはいろいろ聞きたいことがあるが」

「はあっ！！」

「？」

と、碧へと問いを投げようとすれば隣で声をあげたのは彼の精霊だろうか。
酷く慌てた様子の彼女を目にするも、下手をすれば先程の戦闘中よりも追い詰められているのではないかという形相に首を傾げる。

翁。周囲に敵性反応か？

"否。"

「碧、今は何時なのかしら…私、なんだかとても嫌な予感するのだけれど…」

「え？………あ。これは８時には間に合わないね」

苦笑いする碧に顔を真っ青にする飛梅。
８時という時刻になにか由縁でもあるのか、二人が慌てているのは誰がみても明確な事実であるわけだが。

「んー、全力で走っても間に合わないかな」

「貴方！！もう少し、真面目に考えたらどうなの？！諦めるのが早いというか思い切りがいいというか…私まで"エレナ"に絞られるじゃない…」

「なにかあるのか…？」

「うん。うちのルールで夕飯は必ず家族でとるのが決まりで。８時には家に帰らないといけないんだ。門限みたいなものかな」

「門限？そうだよね、碧は学生さんだもの…でも８時は早くない？」

「勿論、事前に連絡をすれば大丈夫なんだけど」

「碧の場合、これが一度や二度じゃないのよ…日頃の行いというやつね。碧、貴方。いくら実の息子だとしてもエレナを怒らせて何度も無事生還できると考えないことよ…」

「わかってるよ。"一度だって"僕は母さんに勝てたことなんてないんだから」