【Fate/Grand Order】人は、何を想い、何を願うのだろうかⅠ【派生作品】 (ページ22)

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刀身のない…実体が見えないその刃を目にすれば碧が地を踏むごとに、舞い散る紅梅の花弁。
本能的に、自身より魔力量も魔術に関する才能もセンスも上回っていることを察知する。

加えて、後衛に控える女も大概。

こりゃどうみたって形成不利。
それに確かに、あの女、"スカサハ"と名を喚んだ。

「(キャスターの爆薬の爆風に紛れて、ひくのが得策だな。これは)」

と、逃走経路を見出すイライジャ。
確かこの橋の付近は住宅街。背後に逃れ、路地を曲がって、俺の"隠匿"を使えばなんとかこの場からは逃れられるか。

正直、ここでサーヴァントを使い潰すのは愚の骨頂というものかもしれなないが、そうも言ってられない。こいつらはどうみたって、やばい。

「(なにか様子がおかしい…)飛梅。なにか変わったことはない？」

「正直それどころではないのだけれど。目前の敵に集中してもらえるとありがたいわ…」

「心配しなくても、この時限爆弾…僕が捌ききれない分は"彼女"が処理してくれるから大丈夫だよ」

「…はぁ。初対面でよくそこまで連携がとれるわね。確かに、大丈夫そうではあるけど」

飛梅の溜息と共にシャーロットによる魔弾の着弾を確認。
最後の弾丸を捌くと同時に爆風を利用し、前へと地を蹴る碧は一気にサーヴァントとの間合いをつめる。

「ンン♪近くでみるとより美しい空色の瞳…いいですねぇ。是非くりぬかせていただきたいっ！！」

「飛梅…くるよ…っ」

「全く、無理を言うのだから…」

死角から現れた爆弾が暴発する直前、後ろへと地を蹴りひと振り振るえばヒットしていないであろう距離感。

にも関わらず、先程まであった爆弾はどこへと消えたのか。そこに残るは紅梅の花弁、それのみ。

「おや。アナタも幻術を使われるノデスカ？マスターと同じですね！これはなんと楽しい！！」

「そんなことよりも…自分の心配をした方がいいかもしれないよ」

「ン？」

碧が大きく左に身を翻せば、白銀の銃を構え口角をあげるシャーロット。

"終わりだ、道化師"

渾身の一撃が放たれればそれは、彼が認識する前にサーヴァントのコアに着弾。
光によって撃ち抜かれた道化師は、"快感"と叫び光と共に退去を確認。

だがその場にキャスターのマスターを確認することはできなかった。

「とんだ卑怯者か」

「ありがとう、助かったよ」

「謙遜するな。君なら、避けられただろう」

「いいや。君より判断が遅れたのは確かだよ」