【Fate/Grand Order】人は、何を想い、何を願うのだろうかⅠ【派生作品】 (ページ21)

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「他人(ひと)の話しをよく聞かないとは、"弟"からよく言われるかな。僕は聞いてるつもりなんだけどね」

ふふっと笑ってみせれば、"飛梅"と彼(か)の者の名を呼ぶ碧。
途端、香る花の香と舞い散る紅梅の花弁。

その向こうから現れた女性は、この世の者ではない。

「…っ！君は、精霊師…なのか？降霊魔術でもなさそうだが…これは一体…」

一種信じられない。今まで見たこともない魔術を目にすれば、シャーロットには珍しく理性よりも先に自身の感情が前へとでる。

それほどに、珍しいものをみたとでもいうべきか。

「私を精霊だと見抜くとは…なかなかのお嬢さんのようね。それで碧。これは一体…。はぁ、貴方、また首を突っ込むべきではないことに茶々をいれているようね…」

「そんなことないよ。瞳をくり抜くなんて言うんだから、そんな芸当みてみたいと思って。」

「……そこはせめて、そこのお嬢さんのため…と言ってほしかったのだけれど。まあいいわ…貴方の良い点は嘘を吐かないことだもの…諦めて、能力(ちから)を貸しましょう。というわけだから、よろしくお願いしますね」

ふわりと笑ってみせる梅の精霊に、こちらこそと笑むシャーロット。

「それじゃあ、僕と飛梅が斬りこむからあとはよろしく」

「嗚呼、任されたよ」

全く、作戦などあってないようなものだ、と内心笑むシャーロットであったが不思議と悪い気はしなかった。それはきっと、彼とはどこか波長があうようなそんな予感があったからか。

『契約者よ。心躍っているのか…？』

「(あのような面白い男はそうはいないからな)…さあ、私もこうはしていられない」

ひととき隠れていた角から飛び出せば、全く馬鹿というべきか死にたがりというべきか。
全く、誰を信じて突っ込んでいるというのか、あの男は。

キャスターから放たれる時限式の爆弾を諸共せず、一直線に駆け込む後ろ姿。

きっと、一撃たりとも自分には当たらないそう信じていなければああも間合いには走れはしない。

「(随分と私は信頼されているようだな)…ならば、応えるほかないかっ！魔弾、装填…標的、捕捉…座標軸、確定。」

着弾予想時間、全弾予測完了。
着弾予測地点まで、３、２…１…っ。

心の中でのカウントダウン。
全神経を傾け、橘碧が薙ぎ払う弾丸、癖…間合い、そのすべてに意識を向け放たれる黄金の光弾。

それはまるで――。

「流れ星みたいだね、スカサハ」