【Fate/Grand Order】人は、何を想い、何を願うのだろうかⅠ【派生作品】 (ページ3)

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Intro... ページ3

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　あれは確か、私が16となった夏のこと―。忘れるはずもない。
　
　あの日々は今も私の心に残り、大切な物語としてあり続ける。

何度失ったって、取り返してみせる。

例え、誰かの笑顔を曇らせてしまっても、私には最後までやり切らなくてはならない理由がある。

こんな思いを後世に生きる者たちにさせないために私は立ち上がらなくてはならない。

何度、心が折れたって。何度、傷ついたって。

それは、紛れもない自分自身が決めたことなのだから。

だから終わらせなければならない。救えなかった命はたくさんあれど、それでも、１人でも多くの命を救うために。

私には責任がある。
聖杯戦争の生き残りとして、切り捨てた者たちの命を背負う責任がある。

だから私は最後まで戦うのだ。

翁。だから、君だけは私と共にいてくれよ。ずっとだなんて言わない。

それくらい願ったっていいだろう？

◆

時はシャーロットが16歳の夏に遡る。

あれはパブリックスクールが長期休暇に入り帰省した日のこと。

久方ぶりに帰宅をしたエインズワース邸では愛する妹と弟が自身の帰宅を今か今かと待っていた。

「シャーロット姉様、お帰りなさいませ」

「ねえさまっ。ぼく、ねえさまのいない間に"まほうじん"をかけるようになりましたっ」

「ただいま。二人とも変わりはなさそうだな。ノアも、日々目覚ましいものだ。将来は私を超えるやもしれないな」

「へへっ。ぼくは、ねえさまや、エリザベスをまもれるくらい成長したいんです。だから、もっといろいろなことをおしえてください、ねえさま」

まだ未熟でこんなにも小さな弟が最近はこのようなことを言うようになったのだから、会わないうちにまた成長したのだ、とうれしく思う。

それにしても、私たちを守れるくらいに、か。

「姉様。お伝え損ねていましたがお父様が執務室に来るようにと…」

「嗚呼、わかった」

また晩餐のときに。とひと時の別れを告げれば自室で着替えを済まし改めて、執務室へと向かうシャーロット。

エインズワース家は古くからある伯爵の爵位を与えられた家門であり、当代エインズワース伯爵は魔術師ではなく、妻である伯爵夫人が魔術師としての血を継いでいた。
まあ、その夫人も末弟であるノアを生んで間もなく、亡くなったわけだが。

今思えばその時からだろうか。父が私にきつく接するようになったのは。