Hello～過去編～ (ページ18)

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智side

潤に教えてもらって、
翔の外来には必ず顔を出すようにした。
数ヶ月にたったの1回。
これまでの遅れを取り戻すかのように、
会うたびに話せる言葉が増えていた。

４月、
『やだ』と『いーよ』が、
言えるようになってた。

６月、
初めて、歩いて診察室に入って来た。

９月、
『しょーくん』、『じゅー(潤)』、『とち(智)』
他にもお友達や、施設の先生の
名前が言えるようになってた。

１１月、
いつものように挨拶すると、
『あっこ(抱っこ)』と自分から要求してきた。

俺にとってはそのどれもが、
大きな大きな成長に見えて。
…嬉しかった。
患者に対して、こんな気持ちを抱くのは
初めてだった。

１２月、
里親候補の人と、一緒に来た。

「翔くんは、普通の子とは少し違います。けど、一生懸命、成長して、生きています。どうか、大切にしてやってください。お願いします。」

退院してから丸一年経った１月、
俺の願いも虚しく、翔が救急車で運ばれてきた。