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リンリンリンリン


いつものように電話をかけた午後20時


この3年間、君の声を聞いてないけれど


毎日、僅かな期待を胸に抱いてるんだ




もしかしたら今日、君に電話が繋がるかもしれない...



プツッ



その音に、心臓が跳ねた



今まで一度も電話の向こうから聞こえなかったこの音




『スニョン』




夢に見た優しい声が、スッと耳に入ってくる



「A...?」



恐る恐る口を開くと、聞こえたのは小さな笑い声



『そうよ、Aよ』



ああ、この声、彼女だ


ずっと聞きたかった、この声だけを




「A...!俺、ずっと...」



声が聞きたかった、そう言おうとした時


電話の向こうから、男の人の声が聞こえた



"誰と話してるんだ"



『ごめんスニョン、もう切らなくちゃ』



わかってた、君は忙しい人だから長くは話せないって



3年ぶりに聞いた君の声はあの頃と何も変わらなくて



余計に愛おしさが増す




「...わかったよ、声が聞けて嬉しかった」


『私も。...会いたい、スニョン』


「...A、愛して」




愛してる



そこまで言いかけた時、電話の向こうから物音がした



『やめて!返して!!...』プーップーッ



無機質に響く通話終了の音が、俺に現実を突きつける



そうだ、最初からこの世界は、俺たちに厳しい



みんな、俺たちを引き裂こうとする




だけど久しぶりに聞いた君の声に、ほんの数分の通話に、涙が溢れそうなほど喜びを感じた



テーブルの上で哀しそうに泳ぐ金魚



自分と重なって見えて、無性に苛立つ



どうして、うまく泳げないのかな




気づけば朝で、そのまま床で眠ってしまっていたらしい


肩と腰が痛い


金魚は昨日の夜のまま、口をパクパクさせて一生懸命泳いでる

3→←1 *swimming fool ホシ



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作者名:アナゴ | 作成日時:2017年4月21日 23時

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