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『調子はどう？』
「……………………まあ、これからって感じですね」
沈黙が長いな。今のままではメガネくんの実力はB級の中でも見劣りするレベルということか。
とりまるの話によると、メガネくんのトリオン量は少なく、単純な戦闘能力も低いそうで、一人の戦力として考えるよりは、私のように味方に取らせる方が向いていると思った。
「ぼくも、戦えるようになりたいです」
ずっと黙っていたメガネくんが口を開いた。その目には意思が宿っていて、彼の思考の根幹となるものが少しだけ見えた気がする。
らしくもなく、何かやってくれそうだな、と根拠もない期待を彼に寄せる自分がいて笑ってしまった。
『…まずは基礎的な訓練をとりまるにしてもらおう。私が教えられるのは一人の戦い方ではなく、チームでの戦い方だから』
「わかりました！」
自分の弱さを自覚している者こそ、その弱ささえもダシにして強かに生きていくものだ。この子達が全員B級に上がって部隊を結成したその時こそ、彼の真価が発揮されるはず。
「三雲、続きをやるぞ」
「はい！」
『がんばってね。私は千佳ちゃんの様子を見てくるよ』
とりまる達を見送り、宇佐美に千佳ちゃんの居場所を確認してから訓練室に向かった。その先で、私はとんでもない光景を目にする。
『…千佳ちゃん、あの、これ…』
「え？」
本人は自覚していないようだが、訓練を始めてかなり時間が経っているにもかかわらず、恐らく長時間の休憩もとらずに撃ち続けて的がとんでもない量に達していた。
しかも、トリオン切れを起こす気配すらない。この子のトリオン量はどうなってんだ。
「あ、あの…？」
『………はっ、千佳ちゃん休憩してないよね？適度に休みを入れつつやろうか』
「はい！」
小柄な身体に似合わない狙撃手用トリガーを抱えるこの子は、聞いていた話より遥かにトリオン量が多い。
迅さんは「めっちゃ多い」しか言っていなかったため、多くても二宮さんレベルだと思って甘く見すぎた。倍はあるぞこの子。
もしかしたら、ブラックトリガーにも匹敵するかもしれない。だとすれば、この子達のチームは一体どれ程強くなれるのだろう。
千佳ちゃんのトリオン量ならばメテオラで無双できるし、空閑くんの小南にも優るとも劣らない機動力ならグラスホッパーを上手く使えるし、メガネくんが頭として二人を使いこなせれば、A級上位だって夢じゃない。
この数時間で、彼らの未来がとても楽しみになった。
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海道蓮(プロフ) - 紅羽さん» ご指摘とコメントありがとうございます！楽しみにしていただけて何よりです(´∀`)これからもこの作品をよろしくお願いします！ (2022年7月22日 0時) (
レス) id: abb6677f28 (このIDを非表示/違反報告)
紅羽(プロフ) - 初めまして。防衛任務からの２、３話ほど、古寺が小寺になっていましたよ！気になってしまったので指摘させていただきました。お話とても面白かったです！次の更新を楽しみにしています！ (2022年7月20日 22時) (レス) id: 9cf5eca61b (このIDを非表示/違反報告)
海道蓮(プロフ) - ななちさん» コメントありがとうございます！返信が遅くなってごめんなさい！やっと現実の方が落ち着いたので、どんどん更新したいと思います！これからもこの作品をよろしくお願いします！ (2021年2月27日 2時) (レス) id: 3f508cdd1a (このIDを非表示/違反報告)
ななち(プロフ) - 思わず一気読みするぐらいすごく面白かったです。主人公ちゃんの性格も好きだし、台本読みでもなく文も読みやすい。丁寧な描写で読んでいて引き込まれました。これからも更新頑張ってください (2021年2月16日 0時) (レス) id: e6a7dee876 (このIDを非表示/違反報告)
海道蓮(プロフ) - 碧さん» ありがとうございます！！なるべくたくさん更新できるように頑張りますので、これからもこの作品をよろしくお願いします！ (2021年1月24日 7時) (レス) id: 3f508cdd1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海道蓮 | 作成日時：2021年1月10日 0時
