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端から見てもご機嫌ナナメな幸村くんは赤也を相手に半分くらい本気を出し、コートに軽くクレーターを作り上げた。口許は笑っていたが、目は完全に死んでいた。恐い。
一方、ぼこされた赤也はコートに倒れ、虚ろな目で虚空を眺めていた。極めつけに「根性が足りないんじゃない？」というオーバーキルを喰らい撃沈。流石に不憫すぎるだろぃ。
「何をそんなにイライラしているんだ、精市。」
「柳…俺はイライラなんてしてないよ。」
柳にイライラしていることを指摘されるも真っ向から否定。絶対自覚してるぜこれ。
『みんなお待たせ、ドリンクだよー！……わっ』
そして空気も読まずにやって来たA。ふらつきながら重いドリンク籠を両手で持っているのを見て、嫌な予感がしたと思えば案の定ずっこけた。
「ほら、いっぺんに持ってこようとするから…」
『ごめんなさい…次からちゃんと気を付けるから。』
幸村くんの言葉を遮り、声を上げたA。焦りを滲ませたその顔は苦しそうで、いつもはAを見つけたらとんでいく赤也も、気まずそうに立ち尽くしていた。
「…ねえ」
『精市くん、本当にごめんね。気を付けるから…』
「ちょっと黙って。」
目を合わせずに謝るAを、幸村くんが止めた。声のトーンは低いし、顔は無表情。恐すぎる。
「どうして俺を避けるの？」
『避けてるわけじゃなくて、その…』
迷惑をかけたくない、の一心で変わろうとしていたAを知っていた俺は、思わず二人の間に割って入ってしまった。
「幸村くん、Aはただ…」
「丸井、今俺はAと話しているんだ。心配はいらないよ。怒っているわけじゃないし、責めるつもりもないから。」
少し表情が和らいだ幸村くんに拍子抜けした。てっきり、避けられてたことに腹を立てているものだと思っていたから。
(ちゃんとわかってたのか)
(流石は保護者)
(いや、あれはもうママじゃろ)
(見た目も…いや何でもないっス)
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作者名：海道蓮 | 作成日時：2019年5月5日 11時
