殺し屋と解体屋の日常【Diner】

夏野菜のマリネ。 ページ4

澪side

今日の仕事終わりにはボンベロの所に柊と打ち上げ

そういうことで、気分はかなり乗っていた



響く金切り声と命乞いをBGMにサクサクと仕事を進めた


『依頼しゅーりょっ！！』



スマホに電源を付け、一通り連絡をした後


お気に入りに追加された電話番号へとかけた


『やほーボン』


ボ｢なんだ｣


電話越しにボンベロの気だるそうな声が聞こえた


『今日行くよ』

ボ｢フロッピから聞いた｣

『フロッピ…あー柊ね』

｢電話をかけるならもう少し早くかけろ｣



私は既に彼が店長を務めるダイナーの2枚目の扉の前にいた


ガチャン


1枚、次の1枚も大きな音を立てて空いた



カ｢いらっしゃいませ、キャンティーンへようこそ｣


『ようこそ！』



そう言ってカウンター席へ腰を下ろした


ウェイトレスの女の子は困ったようにメニューを抱えていた


ボ｢澪、今日はどうする｣

『ボンが選んで

ご飯は柊と一緒に食べるから後』


数分後、私の前にはキラキラ光るシャンパンが置かれた


口に含めばゆっくりと風味が広がり鼻へ抜ける



ボンベロは私を見ながらカウンターの向かいで葉巻を炙った


ここの店の時計は信用出来ない


そのため、自分の腕時計をちらりと見る


そこには既に約束の時間をさし終えた針がチクタクと時を刻んでいた



『柊…来ないな』

ボ｢どうせ、仕事に仕事が重なってるんだ

そのうち来るだろう｣


ボンベロは紫煙を吐きながら呟いた


『私との約束とより、仕事をとるんだ』


ボ｢あいつはお前と違って真面目で人気なんだから

それぐらい理解しろ｣


『やだ、バラバラにしないと落ち着かない』



ボンベロの顔が少し曇ったあと呆れたように葉巻を置いた




私は解体屋の彼女を解体するため、ナイフを磨き始める




シュッ、シュッという音がホール内に響く


ボ｢あまり汚すなよ

処理が面倒だ｣



『解体屋に頼めば』



ボ｢その解体屋を殺そうとしてるんだろお前は｣



あーそうか…私友達少ないからすぐ来てくれる人知らない

何とかなるかぁ、いざとなったら私が解体屋の跡を継ごう



そんなこと思いながら、空になったグラスをコーンと指で弾いた




その音がホールに響く



『綺麗な音…』



リリリリと電話がなった



その音に綺麗な音色はかき消される





なかなか来ない柊



電話の相手は彼女かもしれないなと



そろそろ殺すであろう彼女を思ってナイフを磨く力がこもった

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