殺し屋と解体屋の日常【Diner】

【番外編】アクアリウム ページ36

草むらに隠れていたのにいてもたってもいられなくなった


なんで！？2人であんなロマンチックな所にいるのに！


そうやって立ってしまったせいで私と先輩はボンベロに酷く叱られてしまった



『ボンベロも少しはしょ…((いっだぁ！！』

ス｢ボンも少しは正直になったら？｣


『そうそれ』


なぜ、ボンベロは先輩は叩かないのに私はグーで叩かれるんだろう


痛い


澪｢ボンー虐めない虐めない

なーいない、ないないだよ？｣


ボ｢…死ぬか？｣


澪｢ボンのご飯が食べたいな｣




まだ食べる気なのかと呆れたボンベロは澪の腕を掴んで、また歩いていった


『あーまただ』

ス｢ん？ああ、まただね｣



行ったと思っていたボンベロがまた帰ってきて先輩と私を交互に見た


ボ｢お前たちも少し正直になったらどうだ｣


遠くから澪がボンベロを呼ぶ声が聞こえ



ボンベロはその声の方に行ってしまった



私達は2人で顔を合わせ…



…うわ、かっこいい



ス｢素直って難しいよね｣


『そうかも』



先輩は誰に素直になれないのだろうか


こんなふたりでいたら勘違いしてしまいそうだ



でも、先輩の周りには私より昔から仲のいい女性が多くいる


澪もそうだし、炎眉だって…あれはボンベロか


いや、どっちもボンベロじゃないか



ス｢ぼーっとしてどうしたんだ？ボン達に置いてかれる｣


『ボンベロってモテるんだなって思って

澪もそうだし、炎眉もでしょ？』



先輩は少し顔を曇らせたかと思えば、私の手を掴み歩き出した


先輩に手を握られて、そこから伝わる熱に私は今にも茹で上がりそうになる


ス｢ねぇ、柊は……｣

『先輩？なんですか』

ス｢…いや、なんでもないよ｣



気になるじゃないかと聞き直せば、またお茶を濁して


先輩は手を握ったまま真っ直ぐ歩きだした



『先輩』


｢ん、なに？｣



先輩は振り向かずに答えた



先輩は誰が好きなのか


先輩は誰に素直になれないのか


先輩は誰を…



先輩は私のことを……




聞きたいことは沢山あるはずなのに言葉にはならず


喉元でごちゃごちゃと混ざって、出てくることは無かった


『やっぱり、なんでもないです』


ス｢そうか｣




何故か、先輩が握る手の力が少し強くなった気がした



その気の所為に便乗して少し私も先輩の手を握ってみた

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