見えない所 (ページ11)

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Jr時代ページ11

その後、俺が京都に行くと

本当に毎日夜電話がかかってきた

いつも楽しそうに、

今日はね、今日はねって

その声が落ち着いて

心地よくて通話をしながら寝落ちすることなんて

数え切れないほどあった

でもある日、和の声が暗かった日があった

「大野くん」

大「ん、？」

「いつ戻ってくるの？」

大「どうだろうな」

「今度、遊びに行ってもいい？」

大「休みなら、いいよ」

「やった」

大「こんど、舞台やるんだって？」

「うん、MAINで、やる
　スタンドバイミー」

大「忙しくなるね」

「うん」

そっから、ずっと黙ってしまった

いつもの楽しそうな声が聞こえず
なんだか、調子が狂う

大「かず」

「ん、？」

大「今日さ」

「なに？」

大「今日、何食った？」

「ふｯははｯ今日？今日ね
　かぁちゃんがもんじゃ焼いてくれたよ」

大「ほんと、好きだな」

やっと、わらった

やっぱり

この声が一番落ち着く

「もう、食べすぎちゃってさ
　まーくんも食べに来てたんだけどね
　美味しそうにたべるから
　かぁちゃんも張り切っちゃって」

俺は、なんであの時

何があったのか、

聞いてやれなかったんだろうか

一人で、ずっと、悩んでたんだよな