瞳の奥 2 (ページ25)

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N・Ｋページ25

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О「体が思い出しているの
　人を殺す、感覚を」

淡々と話しだしたサトシの横顔を見ていると
やっぱり青の姿が、横切る

N「元から、一人だったんですよね
　大野智は、一人だったんです
　人格なんて、
　存在しなかったんじゃないですか？」

俺は何を言っているんだろ

N「怯える自分を隠すために耐えて、強がり
　自分を変えた結果が
　青だったんじゃないんですか？」

そこまで言うと心底驚いた顔で俺の顔を見る

ずっと感じてた違和感
青と白で雰囲気も、全く違うし
使える能力も違った

白は現場に出ないはずなのに
怪我をして、危険な状態になったら現れた

そして、時々感じていた
青と白が重なって見えるような瞬間

О「青は、たしかに、僕の中にいたよ
　でも、青が主人格のようになるまでの記憶が
　僕にはあるんだ
　だからね、多分だけど
　青はもともと、僕だった、人格じゃなかった
　青は、偽った僕で
　青を人格にしたのは僕を治療した人」

人格って、そんな出来方をするんだ

人それぞれだろうけど

でも、やっぱり

大野智は、元は一人

そうですよね、あたりまえか

N「それって、治療がなかったら
　人格として、確定しなかった？」

О「それはどうだろう
　僕は、青が人格として僕の
　代わりをしていなかったら
　耐えられてなかったと思うから」

N「そうですか」

智は、どんな子供だったんだろう

О「僕ね、機械みたいだったの
　従って殴られて実験されてを繰り返して
　僕も、いつから、それが怖くなったのか
　あまり覚えてないの
　気がついたら、呼吸がおかしくなって
　体が震えるようになった」

N「身を守る用になったきっかけがわからない？」

О「うん、わからない
　でもさ、僕、なんで
　処分対象にならなかったんだろ
　ほら、勉強始めて、教えてもらったの
　精神崩壊は処分対象でしょ？」

青ができなかったら

処分される前に

想像するのは、やめておこう

N「そうですね、
　成績が良かったからとか」

О「成績？」

N「まぁ、今生きてるですから
　気にしなくていいんですよ」

О「そうだね」

いつか

生きていればいつか

引退、なんてことができれば

あの地下から、抜け出して

こんな夜の世界からも

抜け出せるんでしょうか