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「…オレも持っとる」
お兄ちゃんはそう言うとジャケットの内ポケットから手帳を出してカバーの内側に裏返しに入ってた写真を見せてくれた。
それは私が持ってるのと同じもの。
「…お兄ちゃん、これ…」
「何でこんなもん持っとると思う？」
「……」
「オレ、今日ここに何しに来たと思う？」
何も答えられずにいる私にお兄ちゃんが鞄から取り出して見せてくれた1枚の紙は、東京本社へ転勤と印刷された辞令。
「転勤？」
「来月からな」
さっきの写真は2人とも単なる偶然だよね。
今日は転勤になるから挨拶に来たってことだよね。
それなら何もなかったように振るまわなきゃと思ったのに。
「引っ越しとか手伝うから来る日が決まったら連絡っ…」
「話ごまかすん、ナシにしようや」
嘘みたい。
夢みたい。
私、お兄ちゃんに抱きしめられてる。
「東京やったら親も知り合いもおらんし」
「……」
「2人だけの秘密に出来るんちゃう？」
「秘密って…？」
見上げた先にあるお兄ちゃんの顔が近付いてきて。
小さなリップ音を立てて私の唇に触れた。
「ずっと、妹以上にAが好きやった」
お兄ちゃんが優しい声で私の名前を呼ぶから。
「・・・裕、」
お兄ちゃんと呼ぶことで鍵をかけてた気持ちが溢れ出して。
どちらからともなく触れたキスを止められなくて。
私たちの誰にも言えない恋が始まる。
fin.
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おふ - 丸の話の長編ってありますか？？ (2019年12月20日 22時) (
レス) id: 42669487d6 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 村上くんのファンとして、とても大好きな作品の一つです。久しぶりのお話の更新、とても嬉しかったです、ありがとうございます！切ないですが、一つ一つの言葉がとても綺麗で…何回読んでも泣いてしまいます笑笑またいつか、お話が更新されるのを待っています！！ (2019年12月14日 3時) (レス) id: 75cb21f7f0 (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃碧(プロフ) - 素敵なお話の数々をありがとうございました！青さんのお話がやはり好きです。青さんらしくて。天国に行った信ちゃんとその彼女さんと丸山さんのお話、まだまだ続くのかなぁって思ったけど…終わりなんですね。まだまだ読みたいって思いましたが…残念。 (2019年12月11日 1時) (レス) id: b2e7866667 (このIDを非表示/違反報告)
nokko(プロフ) - 信ちゃんのお話、とっても切なかったのですが、心温まるハートフルな話でとても感動しました。マルちゃんの優しさにも心打たれました。あきらさんの描く、少し儚いお話が大好きです、！これからもひっそりと楽しませていただきます…（笑） (2019年5月2日 15時) (レス) id: 079b72fef4 (このIDを非表示/違反報告)
あきら(プロフ) - ゆんゆさん» 残酷・・・のつもりはなかったんですけどね(^^;; 空から恋人を見守る人、恋人を忘れずにいる人、その全てを知った上で恋をする人。その想いの全てに間違いも正解もないけれど、叶わない想いもまた【恋】なのだと思います。 (2017年11月6日 21時) (レス) id: e9c7617437 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あきら
| 作成日時：2016年4月30日 18時
