１０９５ (青)

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3つ年上の章ちゃんに私はいつも追いつけない。



中学を卒業して同じ高校へ入学したって
3年先を行く章ちゃんは大学生になっちゃうし。



高校を卒業して同じ大学へ入学して
今度こそ1年間は一緒に過ごせると思ってたのに。



「・・・休学？」

「おん。とりあえず１年休学する」

「何で急にそんなこと」

「バンドにメジャーデビューの話が来てんねん」



そう話す章ちゃんの横顔はキラキラしてる。



高校の同級生と組んだバンド。
章ちゃんはいつしかプロを夢見るようになって。



章ちゃんの夢を知ってて。
頑張れって応援してきて。



私は良かったね、って言わなきゃいけないのに。



「卒業してからでも遅くないんじゃない？」



意地悪な本音が口をついて出る。



「だってあと1年で卒業だよ？今じゃなくても」

「今じゃないとあかんねん」



ぴしゃり、と。
章ちゃんの声が私の言葉を遮って。



いつも聞いてる声だから分かる。
いつも見てる表情だから分かる。



「チャンスもらえる、って奇跡やねんで？」



章ちゃんのことは何でも知ってる。



こつこつ努力家なこと。
大事なことは誰にも相談しないこと。
1度決めたら絶対に譲らない頑固なこと。



だから今。
私がどんな意地悪な言葉で章ちゃんを引き止めようとしたって。



「Aも絶対叶えたい夢が出来たら分かるって」



優しく笑うけど
優しく髪を撫でてくれるけど



章ちゃんはまた、私を置いていく。

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