恋味ドロップス(緑)

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「とりあえず落ち着こ？大倉の言いたいことは分かっとるし。
それに……Aちゃんは関係ないやんか」



マルちゃんの冷静な言葉で大倉さんはシャツを掴んでた手を離すと、私にくるりと背を向けてそのまま給湯室の方向に歩いていった。



「…お騒がせしましたぁ、すんませーん」



えへへ、ってマルちゃんが笑うから。
びっくりしたぁ、もうやめてよーって。
2人のやりとりを見てた皆もそれぞれ仕事に戻っていく。



「ごめん、びっくりしたな」



大丈夫やで、って。
マルちゃんの優しい手が私の頭を撫でてくれるけど。



私は笑えなくて。
モヤモヤを弾き飛ばしたはずの指先が震えて。
自分でも目に涙がたまっていくのが、分かる。



「ミワちゃん、Aちゃんのフォロー頼むな」



ちょっと話しよっか、って。
マルちゃんは私の仕事をミワちゃんに頼んでから
誰もいない打ち合わせブースで私と向かい合わせに座った。



「僕と大倉、入社当時からずっとこんな感じやからさ」

「……」

「あれが僕と大倉のスキンシップみたいなもんだし
これくらいのことで壊れる関係ちゃうから大丈夫」



だから気にせんといてな、ってマルちゃんは微笑んだ。



「それに大倉はAちゃんのこと、本気で怒っとるわけやないよ」

「でも……オマエ、って言ってたし……」

「あれは女の子に言うたらあかんやつ。
僕が大倉にビシッと注意しとくから！」



マルちゃんがぷぅって口を膨らませて、フグみたいな顔をして。
人差し指でその頬をつつくとぷっと音を立てて弾けるから私は思わず笑ってしまって。



「その顔」

「顔？」

「大倉はAちゃんの笑顔が好きやって言うてましたよ」

「………」


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