恋味チョコレイト(青)

7.不意打ち ページ7

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夢じゃないよね？



朝起きたらゴディバのチョコレートもLINEの《章大》も。
消えてなくなってるんじゃないかなんて土曜日も、日曜日も。



そして今日、月曜日の朝も。



「・・・夢じゃない」



金曜日にデパートで別れてからヤスくんから届いたメッセージはシンプルにひとこと。



《また月曜に会社で》



それを何回も確認しちゃってる私は、まるで恋愛初心者。
友だちの欄に《章大》の名前があるだけでもドキドキしてたのに、そこに自分あてのメッセージがたった１行あるだけで、この浮かれよう。
こんな状態で仕事なんて出来なくなりそう。



でもダメ、それはダメ。
仕事はちゃんとやらなきゃ。
社内恋愛で浮かれて仕事にならないなんて、社会人として失格。



「・・・よし、スマホは見ない」



荷物をロッカーに押し込んで。
いつも通りの顔をして自分の席について仕事を始めて数分。



・・・ヤスくんと大倉くんの声がする。
声が近くなってドアが開いて、ヤスくんがこっちを見たから



「おはようございます」



いつも通り、を装ってヤスくんと大倉くんに向かって挨拶をしたら



「おはよ、Aちゃん」



ヤスくんはいつもと同じ笑顔で。
だけど、私のことを名前で呼んだから。



・・・今、呼吸するの、忘れたんだけど。



「あれ？ヤス、山田さんのこと名前で呼んでんの？」

「そんなん大倉に関係ないやろ。な、Aちゃん」



大倉くんに関係あるとかないとかよりも。
2回目のさりげない名前呼びに、今度は心臓が止まりかける。



「えっと・・・」

「じゃあ俺もAちゃんって呼んでいい？」



今度は大倉くんまでそんなことを言い出すから
ちょっと、もう、部署内の先輩の視線がイタイ。



「大倉はあかんで。オレだけ」



突然の名前呼び、2回と。
いつも『僕』って言うのがさらりと『オレ』になったこと。
それから「な？」って私を見て微笑むヤスくんがカッコ良すぎて。



2月8日、月曜の午前9時。
今日は仕事になりません。

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