恋味チョコレイト(青)

12.着信あり ページ12

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その音は、心臓に悪い。
今日のLINEの通知は、友達からの合コンのお誘いか、お気に入りアーティストのお知らせばっかり。



私が送ってないんだから。
ヤスくんから連絡が来るはずないのに。
音がするたびにスマホに飛びついちゃう自分が情けない。



・・・また、通知音。
でももう期待しない。
見て落ち込むくらいなら、見ない。



外が薄暗くなる時間にやっとキッチンで、ヤスくんが好きだっていうイチゴでトリュフを作りながら気を紛らわそうとするのに、また鳴る通知音。



・・・じゃない、これは着信音。



手に付いたホワイトチョコレートを洗い流して、慌てて掴んだスマホの画面には。



《着信 章大》って、嘘でしょう？



「もしもしっ」

「もしもーし、Aちゃん？
オレやけど今ちょっとええかなぁ？」



間違いない、ヤスくんの声。
直接聞くのとは違う、新鮮な電話越しの声。



オレやけど、なんて。
名乗らなくても平気、みたいな当たり前の声。



「明日、7時にAちゃんちまで行ってもいい？」

「ええっ！？」

「いや、あの、部屋に入れてくれとかそんなんちゃうで！
Aちゃん帰るの早いやんか。寒い中待たせんの悪いし」

「あ、そ、そう・・・そうだよね」



電話越しで、顔を見られなくて良かった。
何を勘違いして、何を期待してんの、私。

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