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「・・・名字で呼ばないでよ」
「Aって呼んだら無視すんの、そっちやろ」
今週も疲れたわ、なんて言いながら。
大倉が左隣の席に座って私の方に向き直ったのが分かる。
何か言いたそうにしてるのも分かるけど、私は左を向けなくて。
大倉の視線がこっちを向いてるなんて気のせいだと思いたくて。
机の上にある卓上カレンダーとか、目の前の後輩の席に置かれた色とりどりの文房具とか、どうでもいいものを見て気を紛らわそうとしたのに。
「何でオレのこと避けてんのか、教えてや」
ほら、また。
いつもと違う、大倉の真面目な声が私の耳に届く。
「・・・ヤスくんとの仲を邪魔しちゃ悪いと思って」
自分でも分かる早口で。
金曜日なんだし仕事終わってるならヤスくんと飲みに行けば、なんて心にも思ってないことを言いながらわざとらしく帰り支度をする私に
「オレがヤスのこと、ホンマに好きやと思ってんの?」
少しだけ苛立ったような、大倉の声が刺さる。
「だって、そう言ったの大倉でしょ!」
「A、こんだけ一緒におってオレの嘘も見抜かれへんの?」
「嘘って何よ・・・」
「・・・・・」
「そんなの分かるわけないでしょ・・・」
大倉の言ってること、全然分かんない。
ヤスくんが好きなんでしょう?
何が本当で、何が嘘なの?
大倉のやってること、全然分かんない。
誰もいないフロアまでやってきて。
村瀬さん、なんて呼んで。
・・・勝手に抱きしめないでよ。
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あこ(プロフ) - 何度も何度も読み返してしまうほどとても素敵な作品です。あきらさんの作品全て読みました。言葉の表現が大好きです。これからも楽しみにしてます。 (2017年10月23日 18時) (レス) id: 3c9d5500b5 (このIDを非表示/違反報告)
あきら(プロフ) - ゆうきさん» コメントに気がつかずごめんなさい!楽しんでもらえて良かったです(*^^*) (2016年7月5日 11時) (レス) id: e9c7617437 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 面白かったです。 (2016年5月13日 22時) (レス) id: 547fbdc7c8 (このIDを非表示/違反報告)
あきら(プロフ) - えむさん» お返事が遅くなってすみません!いつの間にか好きになる、って素敵ですよね。実際にそんな恋をしているなんて羨ましいです(*^^*) これからも共感してもらえるような恋のお話を書いていこうと思っているので、また遊びに来てくださいね♪ (2016年3月25日 21時) (レス) id: e9c7617437 (このIDを非表示/違反報告)
えむ - はじめまして。えむです。この小説大倉くんのいつの間にか好きになってたと言っていましたが、実は 私に も好きな人がおりまして… その人も好きになったきっかけはいつの間にか好きになってたです。この小説を見て、その子への気持ちと関ジャニ愛増した気がします! (2016年3月1日 23時) (レス) id: e7a04d94f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あきら | 作成日時:2015年10月25日 21時