20. ページ20
.
「・・・大倉・・・いつから聞いて」
「結構最初のほうから聞いとった。コンビニ出たとこで2人が見えて」
「・・・・・」
「声かけよかな思ったら面白そうな話しとったから。
で、ヤスはオレとA、どっち選ぶん？」
大倉が右隣、左隣には私がいて。
2人に挟まれて両方から視線だけで圧力かけられて。
ヤスくんはますます悩んでしまったけれど、会社に着くと同時に答えを出してくれた。
「おーくら、かなぁ。飲みに行ったり遊ぶんも男同士やから遠慮とかいらんし」
「・・・ヤスくんはやっぱり私より大倉なんだ」
「いや、ちゃうよ。Aの事も好きやで。でもおーくらとAの好きは何か違うって言うんかなぁ」
何か違う、の "何か"って。
ヤスくんはきっと男か女かの違いを言ってるんだろうけど。
何だろう、この気持ち。
同期で、男女関係なく7年。
仲良くしてた3人のバランスが、同じ距離を保ってた正三角形がゆっくりと崩れていくような。
「・・・じゃ、Aは？」
「私？」
「Aはオレとヤス、どっちが好きなん？」
だから昨日。
カレー食べながら言ったよ。
私はヤスくんが好きなんだって。
知ってるくせに。
大倉の声は真剣で。
大倉の目は笑ってなくて。
ヤスくん、だなんて言える雰囲気じゃなくて。
「・・・両思いの2人の間に割り込む気はないかなぁ」
「・・・・・」
「ヤスくんも大倉も私のこと全然女として見てくれないし」
「・・・・・」
「あーあ、私にも素敵な出会いないかなぁ」
冗談っぽく、明るく答えて。
無理やり話をおしまいにして。
「私・・・ダイエット始めたんだ。だから階段で行くね！」
そんな嘘をついてエレベーターを待たずに階段を駆け上がったのは大倉の視線から逃げたかったから。
自分でも分からない涙の理由なんて、聞かれたくなかったから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2400人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あこ(プロフ) - 何度も何度も読み返してしまうほどとても素敵な作品です。あきらさんの作品全て読みました。言葉の表現が大好きです。これからも楽しみにしてます。 (2017年10月23日 18時) (
レス) id: 3c9d5500b5 (このIDを非表示/違反報告)
あきら(プロフ) - ゆうきさん» コメントに気がつかずごめんなさい！楽しんでもらえて良かったです(*^^*) (2016年7月5日 11時) (レス) id: e9c7617437 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 面白かったです。 (2016年5月13日 22時) (レス) id: 547fbdc7c8 (このIDを非表示/違反報告)
あきら(プロフ) - えむさん» お返事が遅くなってすみません！いつの間にか好きになる、って素敵ですよね。実際にそんな恋をしているなんて羨ましいです(*^^*) これからも共感してもらえるような恋のお話を書いていこうと思っているので、また遊びに来てくださいね♪ (2016年3月25日 21時) (レス) id: e9c7617437 (このIDを非表示/違反報告)
えむ - はじめまして。えむです。この小説大倉くんのいつの間にか好きになってたと言っていましたが、実は 私に も好きな人がおりまして… その人も好きになったきっかけはいつの間にか好きになってたです。この小説を見て、その子への気持ちと関ジャニ愛増した気がします！ (2016年3月1日 23時) (レス) id: e7a04d94f8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あきら
| 作成日時：2015年10月25日 21時
