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「こんにちは。夏油です。」
園の入口でそう言えば悟と来ることが増えたから何の疑いもなく、Aちゃんが呼ばれる。
『お兄ちゃん、また悪いことしたの?』
「今日は家に帰る用事が出来たんだよ。私でも良かった?」
『うん!傑くん絵本よんでくれる?』
「いいよ。帰ったら選んで。」
にっと歯を見せてはしゃぐ。
本当は反省文書かされているけど
「絶対に言うなよ」
言ったら殺すからな。と嘘を吐く身にもなって欲しいものだ。こんなに純粋な子を騙すのだから。
『来月にね、おゆーぎ会があるの。傑くん見に来てくれる?』
「もちろん。見に行くよ。お遊戯会だから踊り?」
『私はねんちょーだから劇!シンデレラ』
「Aちゃんはなんの役?」
『木!』
「木?」
え?木ってあの植物の木だよね?
茶色に緑の葉を生やす。聞き間違えかな?
「なんの役?」
『木!』
「・・・悟と七海には話した?」
『ううん。今日お話するの。』
無邪気な笑顔を向けられる。
七海は良いとして、問題は悟だ。私ですらシンデレラじゃないことに驚いているのに、その上木という脇役。と言うより背景。
話したとして一言二言だろう。
「シンデレラにはなりたくないの?」
『みかちゃんと、あゆちゃんと、さきちゃんと、ちずちゃんと、あとはね・・・皆なりたいでしょ?でもね、私はなりたくないの。』
「どうして?」
『んーこれ、内緒ね』
しゃがむとそっと耳に手を当てられる。
『王子さまの子がよく意地悪してくるから、なりたくないの。』
「なるほど。それは私でも嫌だね。」
『ほんと?』
「あぁ嫌だね。その子じゃなかったらしてた?」
『うん。でもやりたい子にさせてあげたいの。』
結局はしないってことか。
この子は小さいのに達観している面がある。
「優しいね。譲ってあげられるなんて」
『へへっ。でもねゆーじと一緒が良かったからいいの!』
「仲良しだね。」
『お兄ちゃんと傑くんと同じ!』
「僕達は腐れ縁見たいなもんだよ」
『くされえん?』
「そう。腐れ縁。」
悟が組長になると、私は着いて来いと言われた身だ。切っても切れない。離れたくても嫌でも居る。正に腐れ縁だ。
『私も傑くんと仲良し?』
「仲良しだよ。これからもよろしくね。」
『ふふっお願いします』
私は味方でいるけれど、ごめんね。
悟だけは私にも制御出来ないから。いつか、悟を手懐けて。
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とろろ芋太(プロフ) - シシマチさん» コメント返信遅くなってしまってすみません。更新ゆっくりですがよろしくお願いいたします。 (2021年7月15日 12時) (レス) id: ac729d71ae (このIDを非表示/違反報告)
シシマチ(プロフ) - ヤクザパロとかあんまり見ないのですが、とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2021年7月7日 14時) (レス) id: 5733ebb1d6 (このIDを非表示/違反報告)
とろろ芋太(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます。まだ考えてませんが、頑張ります。よろしくお願いします! (2021年6月4日 19時) (レス) id: ac729d71ae (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年6月1日 10時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とろろ芋太 | 作成日時:2021年5月23日 10時