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『傑くんまた来る?』

「来るよ。また呼んであげる。」


七海が帰って来る前に傑は帰った。
洗濯物を入れ、景色が見たいと言うAを抱く。
15階からの景色は意外といいものだな、と見ているとAは俺をじっと見ていた。


『お兄ちゃん、ずっとここに居る?』

「・・・」


傑が帰ったから?どこかで話を聞かれたのか、偶然なのか、何にしてもタイミングのいい質問に驚いた。
ここで嘘を吐くのは良くないな。


「ずっとじゃないよ。俺が居られるのは」

『いなくなるの?』

「ここじゃない家に住むだけだからすぐ会えるよ。」

『ここはダメなの?』

「ダメじゃないけどここに居るのをよく思わない人がいるんだよ。」

『・・・お兄ちゃんのお父さん?』


この年齢でもヤクザとかの話は理解できるのか?
それとも七海が教えたのか?いや、七海は順を追って話すタイプだからそんことはしない。


「そんなとこかな?なんで俺の父親だって思う?」

『お兄ちゃんがお家に帰った時、怖いお顔してたから、』


それだけ?他にあるとしてもそれだけでは親父には答えが出ないはずだ。保育園でよく口の動く奴がいるのか。そう思う他に答えがない。


「寂しい?」

『うん・・・お兄ちゃん、ずっと一緒じゃダメなの?』

「俺と一緒にいたい?」


うん、と小さく頷く。


「じゃー将来は俺のお嫁さんになってくれる?そしたら一緒に居られる。」

『おじちゃんと私とお兄ちゃんと一緒にいられる?』

「いられるよ。ずっと。」

『じゃあ、お嫁さんになる。』

「約束」


小指を出すと少しばかり躊躇う姿に、七海が前に言っていたことを思い出す。


「約束は守ることを教えてます。そして、安易な約束はしない事も。
それでもまだ子どもですから間違えることはあります。私が守れないこともあるので、その時は誠意を持って謝罪することを忘れないとも。」


七海とAにとって「約束」は何よりも重いもの。だからAは七海の教え通り安易な「約束」はしない。
それは保育園での姿で何度も見ていた。簡単に「約束」をする友だちを見ていいのかな?と首を傾げていた。


(七海、お前が思ってるよりしっかり育ち過ぎてるよ。)


Aはそっと小指を出すと結ぶ。


『約束』


この約束は俺が忘れない。
そしてAも忘れないはずだ。

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とろろ芋太(プロフ) - シシマチさん» コメント返信遅くなってしまってすみません。更新ゆっくりですがよろしくお願いいたします。 (2021年7月15日 12時) (レス) id: ac729d71ae (このIDを非表示/違反報告)
シシマチ(プロフ) - ヤクザパロとかあんまり見ないのですが、とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2021年7月7日 14時) (レス) id: 5733ebb1d6 (このIDを非表示/違反報告)
とろろ芋太(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます。まだ考えてませんが、頑張ります。よろしくお願いします! (2021年6月4日 19時) (レス) id: ac729d71ae (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年6月1日 10時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とろろ芋太 | 作成日時:2021年5月23日 10時

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