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運動会当日になった。
とにかく七海と俺はよく目立つ。特に七海はママさん達に人気で声をかけられまくってはそれとなく躱している。
Aのかけっこの番になると七海は鞄を漁る。
「一眼レフってガチじゃん」
「こういうのは記念になります。思い出は写真でも何でも形に残してあげたいんです。」
「・・・七海って自分が死ぬと思ってない?」
時々話していると七海は自分が居なくなる前提で話している気がしていた。
「思っています。足を入れてはいけない側に身を投じたのですから、当然覚悟はあります。ですが、私がそうでもAには関係ありません。あの子を一人にしないことが今の目標です。」
「そっか、」
Aがスタートラインに立つと手を振って来る。
眩しく、何も知らない笑顔に七海は何を思っているのだろう?
パンっ!
スターターピストルの音が響く。一斉に走り出す。頑張れ、それを言う前に固まった。圧倒的な差をつけて1位を勝ち取ったからだ。
「・・・練習必要だった??」
「必要です。ポテンシャルが上がる一つになりますから。」
「結構親バカだよな。七海って」
年長組の出し物が終わり、お昼を挟む。
『1位取った!見て!』
「見てます。話す時は口の物を飲み込んでからです。」
『はーい』
それでも黙っていても1位のメダルを俺の顔に押し付ける勢いで見せてくる。頑張ったね。と頭を撫でるとにひっと米粒を付けて笑う。
「ナナミン来てんじゃん!!」
「こんにちは。虎杖君。お昼は食べましたか?」
「食べたけど足りんかった!」
『じゃあいっしょに食べよー』
やった!とピンク頭の子どもが入って来る。
迎えに来る時によくAとセットで見かける男の子だ。
「俺は虎杖ゆーじ!お兄ちゃん名前は?」
「五条悟。君よくAといる子だよね?」
「うん!一番の仲良しだからな。な?」
『ね。』
一番の仲良しが男の子??
これってよくある初恋の、とかそういう展開じゃないのか?
「ナナミンは良いの?これは」
「構いません。友人は多くて損はありません。」
過保護のくせにこういうとこだけ冷めてるな。
「今日は兄の方は来ていないのですか?」
「うん。すくなはあっちでじいちゃんと居る。なんで来なかったんだろ?」
「兄って?」
「虎杖君は双子の弟です。兄は宿儺。お仕事の事情で母親と祖父母のお家にいるそうです。」
寂しくない?そう聞くと全然!と笑顔で答えられた。
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とろろ芋太(プロフ) - シシマチさん» コメント返信遅くなってしまってすみません。更新ゆっくりですがよろしくお願いいたします。 (2021年7月15日 12時) (レス) id: ac729d71ae (このIDを非表示/違反報告)
シシマチ(プロフ) - ヤクザパロとかあんまり見ないのですが、とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2021年7月7日 14時) (レス) id: 5733ebb1d6 (このIDを非表示/違反報告)
とろろ芋太(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます。まだ考えてませんが、頑張ります。よろしくお願いします! (2021年6月4日 19時) (レス) id: ac729d71ae (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年6月1日 10時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とろろ芋太 | 作成日時:2021年5月23日 10時