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『・・・お兄ちゃん?』
七海建人、そいつを向いて聞く。
「そうです。しばらくお世話をするお兄ちゃんです。仲良くしてあげて下さい。出来ますね?」
『はーい』
手を挙げて、にこにこと俺を見る。シートベルトをして、家まで10分程掛かると言う。
『お兄ちゃんお名前は?私はなーみAです。4才です。』
「五条悟、14歳」
『さーとお兄ちゃんおケガいっぱいしてるからこれあげる』
赤色の通園バッグから取り出したのはパンダ柄の絆創膏。それを左手の擦れている部分に貼ってくる。
手を握られたまま、タワーマンションの地下駐車場に着いた。部屋に向かいながら聞いた。
「お前の子ども?」
「いいえ。姉の子です。それから私はお前ではなく七海建人です。好きに呼んで下さい。」
「なんで姉ちゃんの子ども送り迎えしてんの?預かってんの?」
「違います。姉が亡くなったので私が親代わりです。2年程前に殺されました。貴方の父親に。」
「・・・俺の事憎い?」
「憎くありません。貴方は関係ありません。それに子どもです。」
子ども扱いかよ。
タワマンの15階、端の部屋に入る。入ってすぐの部屋を開けるとここを使って下さい。とパイプベッド一つだけ。
「今日は客布団を出します。しばらくはここに居るでしょうから必要な物は明日揃えに行きましょう。」
『お買い物?』
「そうです。必要な物を買いに行きます。悟さんはお風呂に、その後は手当します。そのままでは教育上良くありません。」
制服のシャツは血塗れ。バスタオルと服を渡されると風呂へと放り込まれた。
『さーとお兄ちゃんはずっと居るの?』
「ずっとではありません。かと言ってすぐでもありません。救急箱をお願いします。悟さんの手当をしてあげて下さい。」
『んっ!』
ビシッと敬礼をすると救急箱を取りに行く。
組長の息子の悟さんとは話すのは今日が初めてだ。顔は遠目に何度も見ていた。人離れした容姿のためよく女性を連れ込んでいるうえに、よく問題を起こす。
今回は他の組の息子を入院させた。その後始末を組長がしたのだ。まさか私に面倒を見ろと言ってくるとは思わなかった。
『おじちゃーん取れなーい』
「すみません。上に置いてましたね。」
もうすぐ5才になるA。物事の理解も今よりもっと出来る様になる。
救急箱を渡すと笑顔を向けられる。その頭をそっと撫でた。
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とろろ芋太(プロフ) - シシマチさん» コメント返信遅くなってしまってすみません。更新ゆっくりですがよろしくお願いいたします。 (2021年7月15日 12時) (レス) id: ac729d71ae (このIDを非表示/違反報告)
シシマチ(プロフ) - ヤクザパロとかあんまり見ないのですが、とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2021年7月7日 14時) (レス) id: 5733ebb1d6 (このIDを非表示/違反報告)
とろろ芋太(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます。まだ考えてませんが、頑張ります。よろしくお願いします! (2021年6月4日 19時) (レス) id: ac729d71ae (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年6月1日 10時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とろろ芋太 | 作成日時:2021年5月23日 10時