15和と洋 ページ15
A「洋風も洋風なりに良いところがあって決して嫌いな訳じゃないの。だけど、和風の方が断然落ち着くんだよね。妹はその逆。このことでよく喧嘩したことがあったな…。」
土「…。」
A「今はそんなくだらないことで喧嘩しなくなったけどね。」
自分の思い出話をしておきながらつい苦笑いする。その様子を黙って聞いていた土蜘蛛の表情は一切変わらない。
A「ごめんね。関係ない話をしたりして…。」
土「そんなことはない。…せっかくの機会だ、お主に六十年前の話をしよう。」
A「えっ、六十年前の?」
土「吾輩が率いる元祖軍とは別に、本家軍と言って新しいものを好む連中がいる。」
A「本家?」
土「っ、元々二つの軍は存在していなかった。…だが、互いの意見が合わなかったことがきっかけで元祖軍と本家軍に分かれ、他の妖怪をも巻き込む大きな戦にまで発展した。…しかし、そのきっかけを作った者達の正体が判明し、二人の少年(人間)と本家軍と手を組み奴らを撲滅にまで追い込んだ。」
A「その正体って…何だったの?」
土「怪魔だ。」
初めて聞いた名前の妖怪(?)だ。
A「撲滅にまで追い込んだってことは、今はもういないんだよね?」
土「怪魔は一体もいない…が、その頂点に立つトキヲ・ウバウネは、今もたった一人無限地獄にいる。」
A「っ!大丈夫なの?」
土「心配無用。奴は変わりつつある。」
A「そうなんだ。なら、安心だね。」
土「…保証は出来ぬがな。」
A「?それってどうi…」
土「今の話はここまでだ。吾輩達も宴の準備をせねば。」
A「…う、うん。」
…
この後、土蜘蛛は先に大広間へ行き、私はえんらえんらと合流する。あの日と同じように着物に着替え、薄化粧を施してもらった。
え「やっぱりこっちの方が似合うわね〜。」
A「そう、かな…/////」
え「そうよ〜。A様を妻にしたい気持ちよく分かるわ〜。」
A「えんらえんらってば大袈裟過ぎ。世の中には綺麗な人がいーっぱいいるんだよ。私なんか全然可愛くないし、土蜘蛛の気持ちよく分からないな…。」
ギュッ
A「…っ!」
えんらえんらの冷たくて真っ白な手が、私の手をやんわりと包み込む。
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紅茶(プロフ) - 露芝 紅桜さん» 読んで下さりありがとうございます!物語はまだまだ続きますのでお楽しみに〜!土蜘蛛好きの方が沢山いて嬉しいです♪ (2019年4月21日 21時) (レス) id: 8b1c0f6ed2 (このIDを非表示/違反報告)
露芝 紅桜(プロフ) - いつもドキドキしながら読んでいます!土蜘蛛さん素敵ですよね。これからも頑張ってください! (2019年4月21日 21時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)
紅茶(プロフ) - キラさん» 初めまして。小説を読んで下さっていたとは…!期待に応えられるよう頑張ります! (2019年2月28日 11時) (レス) id: 8b1c0f6ed2 (このIDを非表示/違反報告)
キラ - お初にお目に掛かります。キラです。今回初めて、この小説を読みました!土蜘蛛は大好きなので、とても嬉しいです!これからも、更新を頑張って下さい!応援しています! (2019年2月28日 11時) (レス) id: 56a87d2e69 (このIDを非表示/違反報告)
紅茶(プロフ) - 夢桜さん» お気に召してもらえて良かったです!これから先どんな展開になっていくのかお楽しみに☆ (2019年2月27日 6時) (レス) id: 8b1c0f6ed2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅茶 | 作成日時:2019年2月17日 20時