ギョンス君は沼でした。3 (ページ9)

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おかえりページ9

【D.O. SIDE】

『年が明けたね。』

「うん。」

『一緒に年越し出来なくてごめんね。』

「いや、仕事なんだから仕方ないよ。

こうやって電話してくれて嬉しかった。」

『ねぇ、明日何か用事ある？』

「何もないけど？」

『実は…明日ね、お休みになったの。』

「え？お休みなの？」

『うん。チームリーダーが頑張ったからって全員お休み。

もしギョンスが良かったら会いたいなって。』

「ねぇA。」

『ん？』

「俺が会いたくないって言うと思う？

A不足で瀕死状態なんですけど。」

『あはは。あたしも早くギョンスに会いたい。』

「じゃぁさ、今日ここに帰ってきて。」

『え？』

「会えると思ったら…すぐに会いたくて。」

『でも…終電になるよ？』

「そんなの何時でもいいよ。早くAに触れたい。」

『…』

「A？」

『ダッシュで行く！早く切り上げて行く！』

「うん。待ってる。駅まで迎えに行くから連絡して。」

彼女に会えると思ったらにやける顔が抑えられなくて

ふと鏡に映る自分の顔を見たら大分だらしない顔をしていた

自堕落な生活をしていたから、散乱しているゴミや

散らかっている洗濯物をせっせと片付けた

洗い物をして綺麗になったキッチン

彼女を迎え入れる準備は出来た

携帯を覗き込んだ時、ちょうど届いた彼女からのメッセージ

財布と携帯を握って外に出るとものすごく寒い

「やべ、コート着るの忘れた。」

履きかけの靴を脱いでダウンを羽織る

どんだけ浮かれてるんだ

駅までの道、気づいたら小走りで

駅に着くころにはダウンの前を開けるはめになった

最終電車が到着したようで改札口にぞろぞろと人が流れ込んでくる

その中ですぐに彼女を見つけた

彼女も僕を探しているようでキョロキョロとしている

「A！」

僕の声に気づき目が合うとパッと明るくなる顔

近づいてきた彼女の腕を引っ張って胸の中に閉じ込めた

『わっ！』

ぎゅっと抱きしめると求めていたぬくもりと安心する香り

「おかえり。」

『ただいま。寒いのに待たせてごめんね。』

「会えるのが嬉しくて走ってきたら暑くて。」

『走ってきたの？』

そう言って腕の中で見上げる鼻の頭は赤い

「うん。Aは寒い？鼻が赤いよ。」

『寒いよー』

前を開けていたダウンの中に彼女を入れて包み込む

『んふふ。あったかい。』

そう言って腕が腰に回る

人目も気になったけど

いまの僕にはそんな事を考える余裕は無かった