ギョンス君は沼でした。3 (ページ25)

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遠く感じるページ25

今日はちょっと体の様子がおかしい

頭も痛いし寒気もする

デザインアワードが終わって気が緩んだのか

どうやら風邪気味らしい

しかし月次の締めの作業が終わらない

明日の昼には締めないと

皆が出払っていて一人残業

これが終わったら速攻帰ろう

時間が経つにつれ悪化する寒気

そして顔もだんだん熱くなってきた

その時ドアが開き帰ってきたのはルハンだった

LU「ただいま。まだ残ってたの？」

『お帰り…うん月次終わらなくて…』

LU「そっか。」

あーなんか目の前が歪む

本格的にまずいかもしれない

LU「A？顔赤くない？」

『んー』

LU「ねぇ大丈夫？」

『んー』

印刷したものを取ろうと席を立つと視界がぐらりと歪んだ

LU「A！！」

遠くでルハンの声がする

あたし倒れた？

意識がもうろうとして今の状況が良くわからない

LU「A！A！」

うっすら目を開けるとルハンの顔

LU「おまっ…すごい熱！」

『ごめん…』

LU「もーなんでもっと早く言わないんだよ！」

ルハンの安心する香りに私は意識を手放した

【D.O. SIDE】

仕事が終わり営業車を戻しに会社に戻った

きっと月次の時期だから彼女も残業しているはず

今日は一緒に帰ろう

フロアのドアを開けた時だった

床に座り込んだ誰かの背中

え？誰？

良く見るとルハンさんで

その腕に抱かれているのはAだった

「え…な、何してるんですか！」

LU「ギョンス！Aが！」

ルハンさんの腕の中で真っ赤な顔をして意識を失っている彼女

「えっ…A！A！」

声をかけると薄ら目が明く

『ルハン…』

彼女の口から発せられたのは僕の名前ではなかった

LU「何？どうした？」

『水…』

LU「わかった。ちょっと待って。ギョンス悪いけど水買ってきてくれる？」

「あ、はい！」

慌てて自動販売機に水を買いに行く

でもさっき…

ルハンさんの名前…呼びましたよね？

僕の声は…届かなかったのかな

フロアに戻るとルハンさんの腕に抱かれた彼女

彼女の上にはルハンさんのコートがかかっていた

LU「あ、ギョンスありがとう。A、水飲める？」

その声にまた目を薄らとあけ口を開ける

ルハンさんは手慣れた様子で彼女に水を飲ませていた

僕は突っ立ったままその様子を見ているだけだった

触るな

僕の彼女に触るな

なんでそう言えなかったんだろう

ルハンさんの腕をしっかりと掴む手を見て

初めて彼女を遠く感じた