ギョンス君は沼でした。3 (ページ16)

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私の隣には… ページ16

あれ…あたし…寝てた

ふと気が付いたときには床で眠っていた

まだ覚醒しない頭

何かに包まれているようでポカポカと暖かい

うっすら目を開くと目の前にはルハンの顔

え…ルハン？

私の上にはひざ掛けとルハンのスーツのジャケット

そして彼の腕が乗っていた

ちょっと…まって…ここ…会社だよね？

腕から抜け出し体を起こすといたるところで人が寝ていた

そして隣には子供のような顔で眠っているルハン

寒いのか体を小さくして丸まっていた

時計を見ると5時前

まだ外は暗かった

LU「ん…何時…」

『ごめん。起こしちゃった。5時になるよ。』

LU「んー体いてぇ…」

『私も…』

LU「寒い…」

ルハンはそう言って私の腕を引っ張り抱き寄せた

『ちょっ！バカ！何してんの！』

LU「無理…寒い…風邪引く。」

『わかった！ひざ掛けかすから離して！』

LU「嫌だ。」

『離してよ！』

LU「だ…め…」

そう言って聞こえてくる寝息

は？このまま寝るとかあり？いやいやいや

離れようと体を動かすとさらに引き寄せられる

『ルハン！起きて！』

LU「んだよ…もぉ…」

『もー！じゃない！私仮眠室行くから！寒いならルハンも仮眠室行きな！』

無理やり体を引き離し自分の荷物を持って廊下に出た

ドキドキと高鳴る胸と熱くなる顔

久しぶりの彼の腕の中はいつもの香りがした

モヤモヤとする気持ちを振り払うように仮眠室へ駆け込んだ

『一体…なんなの？』

仮眠室にあるシャワーで体を流す

胸の鼓動はなかなか治まらなかった

布団に入って目を閉じると浮かんでくるのは

ルハンの寝顔と暖かい腕の感触

結局ちゃんと眠ることが出来なかった

どう顔を合わせたらいいんだろう

化粧をするため鏡を覗けばそれはそれは酷い顔

目の下にはクマがくっきり

そしてやつれてきた頬

コンシーラーを使っても隠し切れないほどだった

みんなの所に戻ればいつもと変わらない風景

ルハンの姿は無かった

私の机の上には下のカフェのコーヒーと小さなメモ

“2社回って昼には戻るからランチ行くからな

あと色々ごめん。”

『謝る位ならするなバカ…』

そう言いながらまだ温かいコーヒーを飲む

携帯を開くとギョンス君からのメッセージが届いていた

“おはようございます。体大丈夫？”

どうしても声が聞きたくなって電話をかけてみたけど

出られないと冷たいメッセージが聞こえた

またすれ違い

あの休みの日以来彼の声を聞いていなかった