ギョンス君は沼でした。 (ページ9)

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満員電車での君ページ9

少し前を歩くギョンス君に着いて駅に向かう

夜も遅いので人はまばらで真っ暗だった

私が終わるの待っててくれたんだと思ったら

胸の奥がキュンってなった

そんな優しくされた事なんていつぶりだろう

私が着いてきているか時々後ろを振り返ってくれるのも

今顔が火照っている原因の一つなんだろう

信号待ち隣に並ぶと今まで黙っていた彼が話し始めた

「歩くの…早かったですか？」

『あ、いや…大丈夫。』

「そうですか。」

信号が変わると同時に歩き出す彼に今度は並んでみた

「いつもこんな遅かったでしたっけ？」

『月に何日かね。頼まれ事が重なったりするとどうしても…。』

「一人で帰るんですか？」

『まぁ…だいたいそうかな。みんな出払っちゃってる時は。』

「気を付けてくださいね。夜は危ないですから。」

『うん。ありがと。』

夜遅いとはいえ混雑している電車

人の間を縫ってなんとか乗り込んだ

ふと顔を上げると目の前にはギョンス君の顔

私はあわてて顔を下した

「混んでますね。」

頭上から聞こえる声に私は頷く事しか出来なかった

途中電車が大きく揺れる

つり革につかまっていなかった私はバランスが取れずよろけてしまった

それでも倒れなかったのは私の腕をギョンス君が取ってくれたから

『あ、ありがとう。』

「大丈夫ですか？」

『うん。』

「ここ掴んでてください。」

腕を掴まれ彼の斜めにかけたカバンの紐へ

私はその紐を掴み足を踏ん張った

これ以上…

優しくされたら…ダメだ。ダメだ。

「熱いですか？」

『え…』

「耳…赤いです。」

『ちょっと…ね。』

「あと少しなんで。」

『うん。』

目の前に居る君のせいだなんて

言えるわけがなかった