クッキーと残業 ページ8
とある日…
あ…これは残業決定だ…
終わらない…
ミンソクさんから頼まれた書類に
経理からの頼まれもの
それと並行して自分の仕事…
漫画みたいに机の上は書類だらけ
整理しないと…わけがわからなくなる…
定時をとっくに過ぎ
人がまばらになるフロア
ジョンデとミンソクさんは得意先の接待で帰ってこないし
ジュンミョンさんとギョンス君も外回りのまま直帰
遠くから“お先に失礼します”と声が聞こえては消されていく電気
とうとうこのフロアに残っているのは私だけになってしまった
あー今頃ジョンデ達は美味しいご飯に美味しいお酒でも飲んでどんちゃんしてるんだ
お腹すいたなー。あ、そだ。
袖机を開け、買い込んであるお菓子を取り出す
『良かったストックがあって。』
クッキーを口に挟んで作業をしていると
「お疲れ様です。」
とギョンス君が帰ってきた
うわ…はずかしい…
慌ててクッキーを口に放り込んだ
あ、逆にしゃべれなくなっちゃった…
私はモグモグしたままギョンス君に頭を下げた
「んはは。残業ですか？あ、答えなくても大丈夫です。食べてください。」
もうなんていうタイミングで帰ってきたのよ…
コーヒーを飲もうとカップを持ち上げれば
空だ…
するとギョンス君は
「コーヒー入れますね。クッキーにはぴったりですしね。」
なんて笑いながら給湯室へ向かった
恥ずかしくて顔から火が出そう…
「はい。どうぞ。」
『ありがとう。直帰じゃなかったの？』
「あ、明日の会議の資料もう一回目を通したくて…」
『そっか。はい。おすそ分け。』
さっき頬張っていたクッキーをギョンス君に差し出す
「ありがとうございます。お腹すいてたんです。」
向かい合ってパソコンに向かう
画面を見ながら唇を触る
これは彼の癖のようだ
タイピングの音と時々聞こえるクッキーを食べる音だけが響いている
彼が帰ってきてから正直仕事がはかどらない
フロアーには2人だけだし
変に緊張してしまった
でも、これだけは終わらせないと…と心を無にしてなんとかやり終えた
『おわった…』
私の漏らした声にギョンス君の目がこちらを向く
「お疲れ様でした。さ、帰りましょう。」
『へ？ギョンス君…終わったの？』
「もう10時半ですよ。女性を一人で帰すわけにはいかないじゃないですか。」
え…ちょっとまって
待っててくれたの？
今すごい胸キュンなんですけど。
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作者名：SHIN
| 作成日時：2014年10月29日 17時
